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映画で40年本当のレジェンド・トップランナーとして駆け抜けた2大俳優の輝き②「世界で歴代圧倒的1位の男」


前回の「数多くの世界記録を持ち過ぎる男」もぜひご覧いただけたらと思います。(映画で40年本当のレジェンド・トップランナーとして駆け抜けた2大俳優の輝き①「数多くの世界記録を持ち過ぎる男」

市川右太衛門と日本の世界に通じた映画俳優たち


2位市川右太衛門 大名・前田慶次郎 あばれ大名
結局は片岡千恵蔵市川右太衛門がワンツーになりました。この二人は若い読者の方はご存じないかと思われますが、日本の映画界を戦前から戦後まで支え続けてきた国民的な超大スターの映画俳優です。
東映の時代劇の全盛期はやはり格別さがあります。右太衛門は「旗本退屈男シリーズ」(計30作)や「オールスターモノ(主演10作、千恵蔵の約3分の1以下)」などを中心に千恵蔵に次ぐ、東映のナンバー2の俳優として君臨しました。
5作以上のシリーズと演目的シリーズが合わせて3つ(旗本退屈男、オールスター、鳴門秘帖シリーズ(法月弦之丞)のみ)があり、千恵蔵の5作以上のシリーズや演目的シリーズが15作(世界歴代1位)比べると大きく少いわけですが、日本映画の歴代ではそこそこ上位に入ります。10作以上は「旗本退屈男シリーズ」のたった1つのみ、千恵蔵は世界歴代1位の9つあります。

「旗本退屈男シリーズ」は計30作が製作されています。歴代で30作以上の映画シリーズを持つ主演俳優はこの人のほかには、日本映画の中でも歴代、尾上松之助、嵐寛寿郎、森繁久彌、渥美清、三益愛子の歴代で5名しかいません。歴代では6名であり、30作以上の歴代の到達順番は尾上松之助(忠臣蔵)、嵐寛寿郎(鞍馬天狗、右門捕物帖)、市川右太衛門(旗本退屈男)、三益愛子(母モノ)、森繁久彌(社長)、渥美清(男はつらいよ)の順番となります。

「旗本退屈男シリーズ」の早乙女主水之介を映画で主演で演じている年数では33年(1930~1963)で他5名に勝っています。渥美清(男はつらいよ)が28年で2位。テレビの「旗本退屈男(1973)」を含めると映画とドラマの映像作品における同じ役を主演で演じた年数が43年(1930~1973)なり、圧倒的に世界で歴代1位の数字となります。渥美清も年数においては圧倒的に負けおり、渥美は最近なので過大評価されている部分が大きいのです。また、これらについてだけは右太衛門が千恵蔵に勝る大きな部分です。

月形半平太 [DVD]市川右太衛門の主演主演作はデータがある限りでは300作以上あるものの、まだまだ商品化が少ないのが残念です。スカパーで放送されてる主演作品も戦後の東映時代ばかりであり、残念な一面を持つ大スターでもあります。この「月形半平太(1952)」では山田五十鈴がヒロイン的役柄で美空ひばりが脇役で出演しています。

有名な役は法月弦之丞が5作、大岡越前と荒木又衛門4度、近藤勇と水戸黄門、山内伊賀之亮が2作などを演じています。千恵蔵とは主演数の差は20作ほど(映画主演数が千恵蔵320、右太衛門300)ですが、旗本退屈男以外では、10作以上の当たり役がゼロや出演作の多彩さ、ヒット作数、巨匠や名匠とのコンビ数など、”千恵蔵との主演数の20作差を上回る記録の大きな差”が存在しています。他にも色々あるのですが、キリがなく膨大な記録の量があり、これだけでもなんとなくはわかっていただけたかと思います。

市川右太衛門の円熟の前田慶次郎の鋭き冴え


上記で取り上げていないこのシリーズも代表作に入るのではないでしょうか。全9作が作られた通称”大名シリーズ”第6弾の「あばれ大名」の前田慶次郎は、歌舞伎者であり、徳川家康大河内傳次郎)の天下に自ら意義を唱えた。右太衛門のお家芸ともいえる笑いや微笑みを随所に駆使した独自な演技が鋭く冴える。右太衛門は日本映画の父といわれる超大物のマキノ省三にスカウトされて映画俳優に転向する前には上方で歌舞伎をやっていたのですが、歌舞伎の要素をじんわりと忍ばせた時代劇映画スターとしての演技は、円熟味にまで到達しています。

笑いや微笑みを取り入れた独特で明るみの演技と大きく落差のある鋭さは、まさに右太衛門の極めたお家芸といえます。「あばれ大名」は1959年の作品。1964年に映画俳優を引退するわけですが、晩年に差し掛かっていたベテランスターの味わいが堪能できる名演です。最近の俳優とは演技の鋭さや技術、冴えもケタ違いのように思えてしまいます。

東映の創立に千恵蔵ともに関わった超大俳優でもありますが、この二人がいたからこそ、数多くの若手が躍動できたのは言うまでもない事実です。二人とも助演で書いている山田五十鈴と同様に時代が早すぎて、世界とは記録以外では縁がありませんでしたが、それと同時に知らない若者にもっと知ってほしい俳優の一人です。事実かはわかりませんがアニメや漫画の「ドラえもん」もモデルなったとの噂も聞いたことがあります。
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2015/06/07 13:35 | ランキング(11~COMMENT(0)TRACKBACK(0)  

映画で40年本当のレジェンド・トップランナーとして駆け抜けた2大俳優の輝き①「数多くの世界記録を持ち過ぎる男」

映画で何度も見たくなる演技というものがあります。洋画にはシーンなどだけではあるのですが演技だけではそれほど多くはない現実がありますが、時代劇には多くあります。やはり、日本が誇る独自の映画の時代劇というジャンルゆえもあるのでしょう。上位に輝いたのは映画における演技を40年近くにわたり、トップランナーとして走り、追及し続けた稀代の大スター俳優の二人です。

2011年度、視聴映画作の主演男優
順位 役者 作品名
1  片岡千恵蔵 侠客・二本差の弥太郎 弥太郎笠(1955)
2  市川右太衛門 前田慶次郎 あばれ大名
3  マルチェロ・マストロヤンニ 映画監督・グイド 8 1/2
4  若山富三郎 刑事・奥村昭夫 桜の代紋
5  仲代達矢 机龍之介 大菩薩峠(1966)
6  市川雷蔵 旗本・丹下典膳 薄桜記
7  中村錦之助 坂本竜馬 幕末
8  笠智衆 父・平山周平 秋刀魚の味
9  滝沢修 地主・半蔵  夜明け前
10 ハンフリー・ボガート ハリー・モーガン 脱出(1944)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~^
11 阪東妻三郎 夢覚和尚 おぼろ駕籠
12 三船敏郎 浪人・桑畑三十郎 用心棒
13 大友柳太朗 紫頭巾など  変幻紫頭巾
14 ウォーレン・ベイティ クライド・バロウ 俺たちに明日はない
15 ヘンリー・フォンダ ピエール・ベズーホフ伯爵 戦争と平和(1956)
16 ウォーレン・ベイティ ヴィンセント・ブルース リリス
17 木村功 木谷一等兵 真空地帯 
18 東千代之介 同心・夏海小六 出世武士道
19 メル・ファーラー アンドレイ 戦争と平和(1956
20 ジャッキー・チェン ドラゴン プロジェクトA
---------------------------------------------------------------------------------
21 佐野周二 夫・谷川茂夫  愛より愛へ
22 トム・クルーズ  ブライアン・フラナガン カクテル
23 石原裕次郎 やくざ・玉井金五郎 花と竜
24 大川橋蔵 隊士・江波三郎 幕末残酷物語
25 横内正 商社マン・川村信 さらば夏の光
26 上原謙 次男・松崎寿敏 明日の幸福
27 ザック・エフロン トロイ・ボルトン  ハイスクールミュージカル

片岡千恵蔵の侠客・二本差の弥太郎は、劇中ではりゃんこの弥太郎とも呼ばれる*大友柳太朗は紫頭巾・報竜太郎・狩田秀麿の3役*メル・ファーラーはアンドレイ・ボルコンスキー公爵



片岡千恵蔵、膨大な痕跡の数々


1位の片岡千恵蔵の侠客・二本差の彌太郎  弥太郎笠(1955)
戦前から戦後まで主演作がある映画俳優では、世界1位の映画の主演作が320本以上あり、多くの記録(映画俳優としての世界1位の記録が多数、映画で20年演じている役が8役、10作以上の題材以上のシリーズが9つなど多数)、特に記録においては(数がありすぎるので全てが紹介できません)日本の歴代ナンバーワンといえる映画スター俳優が片岡千恵蔵です。

時代劇(戦前から戦後)と現代劇(戦後のみ)の両方で大スターであり、同時に数多くの主演の代表作があります。大まかな当たり映画のシリーズ(<時代劇>忠臣蔵、宮本武蔵、遠山の金さん、国定忠治、新撰組、次郎長系、大菩薩峠、万花地獄、股旅、時代劇のオールスター<現代劇>金田一耕助、多羅尾伴内、ギャング、地獄、現代劇のオールスター)その他、時代劇の単発は多数

簡単なデータで比較してみます。たとえば、千恵蔵が主演した現代劇の計11作で高倉健は助演俳優(高倉健と千恵蔵の共演リンク1・高倉健も恐るべきこの男の源流の一部の川の流れであったのだ!)高倉健と千恵蔵の共演リンク2・・地獄の絆「高倉健と片岡千恵蔵」光と影)として映画に出演しています。もちろん高倉が小スター時代のブレイク前です。直属の後輩でもあったので例に出してみると高倉健は映画出演200作強、主演作数が約130作です。千恵蔵は映画出演350作以上、主演作が320本以上あります。主演作は実に2.5倍以上の差があります。そんな片岡千恵蔵が2011年の主演俳優の最終的な1位です。
十三人の刺客 [DVD]主演俳優としての晩年の代表作の一つ。片岡千恵蔵が戦前から計50作近くの名コンビを組んでいた巨匠・松田定次の助監督などの経て、当時まだ若手である工藤栄一監督とのコンビ。それまでの千恵蔵とは違う魅力も堪能できる代表作の一つ。

股旅モノも片岡千恵蔵のお家芸のひとつ「弥太郎笠(1955)」


片岡千恵蔵は股旅モノ時代劇にも戦前から数多く主演し、股旅モノも千恵蔵のお家芸のひとつとなります。この作品「弥太郎笠(1955)」も会心のといえる名演技を披露しています。時代小説の大家の子母澤寛による”弥太郎笠”の最初の映像化も片岡千恵蔵の主演で作られており、代表作となっています。高倉と同様に東映時代の現代劇の後輩となる鶴田浩二や東映時代劇の直属の後輩の中村錦之助,大映でありながら影響を受けている市川雷蔵らによっても”弥太郎笠”はリメイクされています。この股旅時代劇「弥太郎笠の前後編」(1931)の自分による戦後のリメイク作が「弥太郎笠(1955)」ということです。

千恵蔵自身も思い入れがある作品でもあると思われます。自身が24年も昔の演じた二本差の彌太郎(劇中では”りゃんこの彌太郎”と言う)を思い出すかのように、ざくざくした演技のサマも素晴らしく、展開していくごとに感動させられ、あとからジワジワ湧いてくるのです。世間や人間関係に不器用ながらも情に熱い男、自分の身分ある家を捨て気ままに放浪して生きていた男が、わらじを脱いだ親分の娘(高千穂ひづる)との出会いで、久しぶりに情の炎が灯っていくのですが、突然の別れ。そして、数年後の再びの再会・・・千恵蔵らしい男気が独特に胸を打つ、演技の落差も実に素晴らしい。
特に昔馴染みの友人を演じる大友柳太朗との掛け合いのシーンは絶妙で何回でも見たくなります。今の作品にはない演技だけで見れるのもすごさのひとつと言えますが、また「弥太郎笠(1955)」は盟友であり巨匠の松田定次とのコンビ作であり、互いを理解し合った”よい意味での飾りのなさ”も素晴らしく、さまざまな面での魅力を引き出しています。数多い代表作のひとつと言えるでしょう。


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2015/06/02 18:59 | ランキング(11~COMMENT(1)TRACKBACK(0)  

日本に居座りながら世界を極めた助演女優たち。山田五十鈴、杉村春子らのゲンジツ(8000文字越え)

続けて2011年の助演女優ランキングへ行きます。以前も助演女優も作っていますが、今回が2011年の助演女優の最終版で”完全版”ということになります。説明していない部分は以前の2011各賞+ランキングのカテゴリーで書いている人もいますので良ければご覧ください。

「2011年助演女優ランキング」
順位 役者 役名 作品名
------------------------------------------------------------------------
1 山田五十鈴  お牧  弥太郎笠(1955) 
2 シガニー・ウィーバー キャサリン・パーカー ワーキング・ガール
3 杉村春子 佐久間の娘・伴子 秋刀魚の味
4 岩下志麻 娘・平山路子 秋刀魚の味
5 北林谷栄 家政婦・はな 鍵(1959)
6 高峰三枝子 妹・俊子 愛より愛へ
7 田中絹代 芸者・お仲 おぼろ駕籠
8 丘さとみ 花紫 変幻紫頭巾
9 山田五十鈴 大奥・中臈の三沢 おぼろ駕籠
10エドラ・ゲイル 踊り子セレギーナ 8 1/2
-----------------------------------------------------------------------------
11花柳小菊 お秀 変幻紫頭巾
12岡田茉莉子 長男の嫁・平山秋子 秋刀魚の味
13花柳小菊 出雲の阿国  あばれ大名
14サンドラ・ミーロ 踊る女バーバラ 8 1/2
15水谷八重子(初代) 長男妻・松崎淑子 明日の幸福
16アニタ・エクバーグ エレーナ 戦争と平和(1956)                
17松尾嘉代 妻・佳代 桜の代紋(1973)
18山田五十鈴 おりん 用心棒   
19エステル・パーソンズ ブランチ・バロウ 俺たちに明日はない          
20楠侑子 正岡逸子 エロス+虐殺(完全版) 
----------------------------------------------------------------------------       
21エヴァンス・エヴァンス ヴェルマ・デイヴィス 俺たちに明日はない
22三宅邦子 河合のぶ子 秋刀魚の味
23稲野和子 平賀哀鳥 エロス+虐殺(完全版)
24藤純子 屋敷女中・さと 幕末残酷物語
25乙羽信子 半蔵の孫娘・お粂 夜明け前
26北条きく子 お京 変幻紫頭巾
27大川恵子 浅茅 あばれ大名
28叶順子 娘・敏子 鍵(1959)
29丘さとみ 多恵 あばれ大名
30小夜福子 半蔵の妻・お民  夜明け前
----------------------------------------------------------------------------
31内藤洋子 お松 大菩薩峠(1966)
32江利チエミ 竜馬の姉・小万 幕末
34桜町弘子 お景 出世武士道
35丘さとみ お雪 出世武士道
36小山明子 離婚した母・大村ツル 夏の妹
37リリィ  再婚候補・小藤田桃子 夏の妹
(ワースト)
----------------------------------------------------------------------------

●上位3選の印象の残る1~3位を①~③に分けて取り上げて行きます。
1  山田五十鈴 お牧 弥太郎笠(1955) 
2  シガニー・ウィーバー  キャサリン・パーカー ワーキング・ガール
3  杉村春子 佐久間の娘・伴子 秋刀魚の味


①1位山田五十鈴  お牧 弥太郎笠(1955)


日本歴代で上位に入る大女優の山田五十鈴は、映画の主演作が通産300作を越している歴代の超大スター片岡千恵蔵、主演作100作越えの大友柳太朗との3大スター共演を果たした「弥太郎笠(1955)」では、二人と並ぶほどその実力を活かして作品の内容に大きく貢献しています。特に荒ぶる演技を要求されている”強い女”は山田が得意とするところ、男勝りで強欲、したたかさはこの人のお家芸といえる名演技を披露しています。劇中では名優・進藤英太郎三島雅夫が演ずる二人の親分の間で利益目的に揺れ動くしたたかな女を演じています。山田五十鈴ほどのレベルで女の強欲をさらけ出す演技が一流にできる女優は日本にほとんどいない。残念ながら、当時は日本に発信力が弱ったため、時代が早すぎたのです。今いたら世界にも余裕で通用する大女優であると確信させてくれます。

②2位シガニー・ウィーバー  キャサリン・パーカー ワーキング・ガール


言うまでもない有名作の「エイリアンシリーズ」の主演などでも知られる実力派女優のシガニー・ウィーバー。テレビの影響で映画に詳しくなくても知られている女優であり、現在も現役で活動しています。会社での仕事にバリバリの理性的な仕事の顔と、男の前ではだらけて女の弱さの2面性を見事に演じ分けており、名女優といえるでしょう。

③3位杉村春子 佐久間の娘・伴子 秋刀魚の味


数多くの面において日本の演劇界を代表する本当の大女優の杉村春子、一言で語ることができない歴代の超大物ですが、「秋刀魚の味」においても大きな機能を果たしています。今や世界の小津に当時からすでに気に入られているのです。秋刀魚の味以外の作品についてもただの脇役と思えないほどの持ち場面の長さは、俳優を見る目にも優れていたさすが小津安二郎監督。戦時中は元軍人で地位があり、今や落ちぶれたまずいラーメン屋の親父(東野英治郎)の娘。嫁にいきそびれ娘という難しい役どころに見事に対応しています。父親が酔い潰れて情けなくなり泣き出すシーンのムード感も忘れられない。
「秋刀魚の味」 小津安二郎生誕110年のBlu-rayのニューデジタルリマスターでよみがえる。愛子はBlu-rayにHD版で録画しています。写真は岩下志麻と笠智衆。

続いて、
●上位の順位以外からの8,10,13位をセレクトして④~⑥に分けて取り上げていきます。
8  丘さとみ 花紫 変幻紫頭巾
10 エドラ・ゲイル 踊り子セレギーナ 8 1/2
13 花柳小菊 お秀 変幻紫頭巾


④8位  丘さとみ 花紫 変幻紫頭巾


また、東映の専属女優として時代劇に多数出演し、主演としてではない事実上の助演のヒロインやヒロイン的役を多く演じた丘さとみを3作で見ています。「変幻紫頭巾」は大友柳太朗の主演作であり、2013年に2度目の見直しをしていますが、実力以上にいい演技をしていました。失礼ながらあまり上手い演技のイメージの人ではない丘さとみは、単独の主演作がほとんどない映画女優です。
キャストロール表記ではヒロイン扱いでも、劇中では助演にようなヒロイン扱いをされている作品が多くあります。何故に劇中では助演にようなヒロインとなるのかですが、東映といえば数多くの男の時代劇スターが映画時代には存在しており、女優にほとんど主役をやらせることはなく、この人も男優の鞘レベルに収まっていました。作品のキャストロール表記には扱いが大きくても出番が少なく、多数の作品で似たようなお飾り演技を求められています。
現代からすれば、男女平等じゃないみたいに思う方も居るかもしれませんが、それも含めてよい時代なのです。当時の男の俳優は片岡千恵蔵を始め、今からすれば化け物のようなものすごい人たちがいたことも事実なので、見た目だけの女優などは、特に時代劇ではよくてもヒロインのような脇役にまわるのは必然だった部分もあったわけです。東映時代劇映画の単独主演の女優としては、突き抜けていたのは美空ひばりだけなのです。

⑤10位エドラ・ゲイル 踊り子セレギーナ  8 1/2


映画ファンにはおなじみの名作「8 1/2」の劇中で「セレギーナ、セレギーナ」と叫ばれているのがこのエドラ・ゲイルのようです。日本的には名前が知られていない人物で、確認するまで名前はわかりませんでした。もしかしたら名前が違う可能性もありますが、調べた限りではこの人物が演じているようです。印象に残るたたずまいと動き、ガタイがよく、全然に実力派とは言いがたいが監督の起用がピントを合せて上手く機能、上位にランクインした。

⑥13位花柳小菊 出雲の阿国 あばれ大名


世界に3名しかいない<*A>主演映画300作の超大スターの一人である市川右太衛門を主演に迎えたいわゆるスターモノの時代劇にも該当する作品。今はない時代劇ジャンルです。時代劇全盛には自己流ですが”スターモノ”という”時代劇スターを中心に描く時代劇”が数多く存在しています。現代はありませんね。「あばれ大名」の花柳小菊は出番が少なめではありますが、印象に残る存在感で確かな演技力がある名女優です。
花柳はどちらかいえば戦前の方がスターとして売り出していて、戦後は実力派の名女優として多くの時代劇スターと数多く共演を果たしていますが、この作品においても躍動感という花を添えています。主演の市川右太衛門との共演作数も多く、掛け合いの相性も抜群。演ずるは歌舞伎の始まりになったとも言われている出雲の阿国という有名な役ですが、ラストの挨拶のシーンも短いながら素晴らしい定着感のある演技で、作品のオチのフィナーレの曲の入りや描写に入っていく流れにも大きく貢献しています。
(<*A世界に3名しかいない=尾上松之助、片岡千恵蔵、市川右太衛門の日本の映画俳優のみが持つ超大記録)嵐寛寿郎(通称アラカン)は出演は360作越していますが、助演が100作以上あるため、主演は260作ほどです。
仁侠三人男 [DVD] STD-115片岡千恵蔵が唯一の新東宝の映画に主演した時代劇。森の石松が主演の「殴られた石松 仁侠三人男」には、花柳小菊はヒロイン役で出演しています。千恵蔵は森の石松を戦前から戦後にかけて数度にわたって13年演じており、石松は多くの当たり役とは違い、ハマリ役のひとつとなります。
ちなみに片岡千恵蔵が映画で10年以上演じている役は世界最多の11役あります。他にも世界記録多数あり

*「2011年助演女優ランキング」について、山田五十鈴や田中絹代、岩下志麻や松尾嘉代、藤純子などは、捕らえ方の次第ではヒロイン的な扱いも考えられますが、全盛期の作品においては、男優側を完全にメインに置いている作品が多くあったり、作品の出番や扱いが男優側と比べて大きく少ない理由から、助演による扱いでの該当をさせています。こうしたところは微妙で難しいところです。
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2015/05/24 18:52 | ランキング(11~COMMENT(0)TRACKBACK(0)  

”西洋女ボスと和製アイドル女優の計4名豪華共演”5000文字オーバー。2011ランキング完結編「主演女優編」

2011年ランキングを完結させます。長々と足掛けで3年くらいはかかっています。完全版という形で俳優と作品のみを改めて行こうと思います。数度の公開で完結させて2012年ランキングに行こうと思います。5度くらいで完結させられたらと思います。

主演女優ランキング(*主演とヒロインも含む)
順位 役者 役名 作品名
-----------------------------------------------------------------------------
1  ブリジット・バルドー  ジュリエット 素直な悪女
2  クラウディア・カルディナーレ  恋人・クラウディア  8 1/2
3  アヌーク・エーメ  妻・ルイザ 8 1/2
4  高千穂ひづる  虎太郎の娘・お雪  弥太郎笠(1955)
5  岡田茉莉子  伊藤野枝  エロス+虐殺(完全版)
6  オードリー・ヘプバーン  カターシャ  戦争と平和 (1956年版)
7  京マチ子  妻・郁子  鍵
8  ジーン・セバーグ リリス・アーサー リリス
9  高杉早苗 妻・美耶子  愛より愛へ
10 岡田茉莉子   鳥羽直子  さらば夏の光
---------------------------------------------------------                  
11 フェイ・ダナウェイ  ボニー・パーカー   俺たちに明日はない
12 ローレン・バコール  マリー     脱出
13 新珠実千代  妻・お浜  大菩薩峠(1966)
14 メラニー・グリフィス  テス・マクギル   ワーキング・ガール
15 浅丘ルリ子   妻になる女・マン  花と竜(1962)
16 吉永小百合  妻お良   幕末 
17 丘さとみ  花紫   変幻紫頭巾
18 木暮実千代   次男妻・松崎恵子 明日の幸福
19 栗田ひろみ  菊地素直子      夏の妹
20 エリザベス・シュー  ジョーダン・ムーニー カクテル
---------------------------------------------------------------------------
21 ヴァネッサ・ハジェンズ  ガブリエラ・モンテス  ハイスクールミュージカル        
22 麻生れい子   尾瀬杏子 協奏曲


*(1962)などの年数がある作品は他にも映像化がある作品のため


ブリジット・バルドーは、1950年代にBBという愛称で知られるほどのモデルから映画に出始めた人物ですが、やはり存在感は現代の女優以上に別物です。彼女を中心において作ってる作品が「素直な悪女」という作品ですが、その起用に答えた働きですね。どちらかといえば、演じているというよりはモデルでもあるため、あまり演じずに作品に出ている印象ですが、作品内において大きく機能しているので高く評価しています。

8 1/2」は作品的にも世界的名作ですが、女優に関しても監督の力も大きいですが、高い評価しています。最近の映画に出ていて今も現役のクラウディア・カルディナーレアヌーク・エーメ、両者とも往年のヨーロッパ映画の戦後の全盛期に活躍した有名な女優です。作品では主人公の映画監督とこの二人を含んだ3角関係のような図式が空気的に成り立ちますが、ほとんど描いていません。普通なら多くで触れてしまうところを描かずに、見えない要素として存在させてるところも「8 1/2」のすごさです。
ブリジット・バルドークラウディア・カルディナーレのダブル主演作。女ボスのライバル関係とマカロニウエスタンを交えて描くイタリア映画の「華麗なる対決」、異色西部劇。印象深い作品です。華麗なる対決 [DVD]

触れちゃいますが、麻生れい子がワーストになりました。最近でいうとドラマの「半沢直樹」にも出演していました。「協奏曲」はドキュメンタリーの要素もあるのでわざと素人的に演じている部分もありますが、出ているだけに近い部分も感じました。内容に助けられてまともに見えてた部分もありでしょう。

順位とは別で印象が高いのがこの3人
  ジーン・セバーグ  リリス・アーサー リリス
  高杉早苗  妻・美耶子   愛より愛へ
  高千穂ひづる  親分虎太郎の娘・お雪 弥太郎笠(1955)


リリスという作品はアメリカ映画ですが、フランスのヌーベル・バーグのような雰囲気もありました。自然な感じにジーン・セバーグの純粋無垢な演技と狂うよう崩れざまの落差も印象に残ります。「愛より愛へ」の高杉早苗は着物が抜群に合います。モノクロと程よく相乗していましたね。演技の技術というよりは、素のよさと作品との噛みあわせで印象に残ります。ちなみに高杉早苗は当時の市川猿之助と桔婚した戦前の松竹のスター女優(1930年代)で、今でいうアイドル的な人気も高かったと言われています。当代の市川猿之助香川照之(当代・市川中車)の祖母です。おばあさん役で1960~80年代前半にドラマに出ている印象もありますが、長くなるの切ります。
高杉早苗もデビュー当時に助演で出演した名匠・島津保次郎の代表作の一つが1934年の「隣の八重ちゃん」今で言うアイドル映画で2013のNHKの連続テレビ小説「あまちゃん」のような部分もある作品。のちに巨匠といわれる吉村公三郎やのちの名匠の豊田四郎も助監督で参加している。
隣りの八重ちゃん [DVD]

高千穂ひづるという人。ご存知ですか?テレビドラマにさえほとんど出ていないので、知らない映画ファンも多いと思いますが、元宝塚の娘役の女優で、映画時代にもかなりの人気があるスター女優でした。1950~60年代に東映や松竹を中心に数多くの映画でも活躍しました。見てる限りでは、苦しい目にあう役を多く演じています。「弥太郎笠(1955)」のお雪という役も父親を途中で殺され,少女心に焼きついた初恋の男(弥太郎=片岡千恵蔵)が帰還して敵を討つのを待っている世間知らずのお嬢さんの役、高千穂らしさを存分に熟知できる演技モ魅力です。

主演の男優があり、ヒロイン(2番手、または以降)の該当のみ
1 クラウディア・カルディナーレ 恋人・クラウディア  8 1/2
2 アヌーク・エーメ  妻・ルイーズ(ルイザ)  8 1/2
3 高千穂ひづる  親分虎太郎の娘お雪  弥太郎笠(1955)
4 ローレン・バコール  マリー  脱出
5 吉永小百合  妻お良  幕末
6 新珠実千代  妻・お浜  大菩薩峠(1966) 
7 浅丘ルリ子  妻になる女・マン 花と竜(1962)
8 丘さとみ  花紫 変幻紫頭巾


ローレン・バコールは比較的最近に亡くなりましたね。ニュースで見ましたが、テレビは知らない世代も多いためかあまり取り上げませんでした。この人もけっこう活躍したのですが、50年以上前の全盛期であったためか、説明がが面倒であまり取り上げられませんでした。テレビやマスコミは簡単に説明できるおもちゃを好んでいる一面もあります。

作品における主演女優のみ(またはダブル主演以上も含む)
1  ブリジット・バルドー ジュリエット  素直な悪女
2  オードリー・ヘプバーン カターシャ   戦争と平和 (1956
3  岡田茉莉子 伊藤野枝 エロス+虐殺(完全版)、
4  岡田茉莉子 鳥羽直子  さらば夏の光                    
5  フェイ・ダナウェイ ボニー・パーカー  俺たちに明日はない
6  高杉早苗  妻・美耶子   愛より愛へ
7  メラニー・グリフィス テス・マクギル ワーキング・ガール
8  木暮実千代  次男妻・松崎恵子 明日の幸福
9  栗田ひろみ  菊地素直子 夏の妹
10 ヴァネッサ・ハジェンズ  ガブリエラ・モンテス ハイスクールミュージカル 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~       
11 麻生れい子  尾瀬杏子 協奏曲


ダブル主演のみの該当
1  オードリー・ヘプバーン  カターシャ   戦争と平和 (1956)
2  ジーン・セバーグ  リリス・アーサー  リリス
3  フェイ・ダナウェイ ボニー・パーカー 俺たちに明日はない
4  高杉早苗  妻・美耶子  愛より愛へ
5  木暮実千代  次男妻・松崎恵子  明日の幸福
6  ヴァネッサ・ハジェンズ  ガブリエラ・モンテス ハイスクールミュージカル


*記事タイトルの意味。西洋女ボス=華麗なる対決で共演していて別作品でランクインしているとブリジット・バルドークラウディア・カルディナーレ。今で言うと和製アイドル女優と呼称できる=高杉早苗、高千穂ひづる
*オードリー・ヘプバーンの「戦争と平和 (1956)」は他二人男優と合わせてトリプル主演の扱いしました。ヴァネッサ・ハジェンズを除いては、ほとんどが2015年からするとかなり昔の作品の内容の全盛期などに活躍した女優たちです。今回は4時間以上の時間を記事にかけています。まだまだ色々書きたいのですが、きりないので控えめにして次に行きます。
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2015/05/16 22:54 | ランキング(11~COMMENT(0)TRACKBACK(0)  

山田洋次監督が選んだ日本の名作100本の真実

世界の2大巨匠と監督年数が半世紀の山田洋次につながりがあります。片方の方にはつながりがうすいのですが文章の終盤で何らかのつながりを見せる記事です。考えてもらえたらうれしいです。

実は2011映画視聴ランキングの1位「8 1/2」と2位「秋刀魚の味」で1位は悩みました。

小津安二郎VSフェデリコ・フェリーニ 世界の巨匠同士ですが、見てから何度も見直し3年。両方とも心の中で風化しない。それが名作なんです。「秋刀魚の味」は部分的に含めて10度くらい見直しました。「8 1/2」は15回、部分的には「8 1/2」の方が見直す部分が多いのは事実です。色々こめられている作風でもあるわけでこの数の差は当たり前といえるでしょう。

見た当初は小津安二郎の「秋刀魚の味」が1位でした。中心的なテーマ性の内容に大差あるとは思わないのですが、影響力の差はあるでしょう。飾りが少なく見ごたえがあるのが「秋刀魚の味」装飾的要素を含めて見直しが利くのが「8 1/2」でもあります。「秋刀魚の味」よりは「8 1/2」の方が、頭に風化せず残るポイントが多いんです。
ゴダール 映画史(全) (ちくま学芸文庫)
この人はやりたい放題に壊してきただからいい
フェデリコ・フェリーニという監督の作品は日本未公開作が多い。最近の未公開作は日本へ作品をレンタルしたい側の供給が強いため、日本側も簡単に済むので需要以上に答えてしまう状況にあるようです。スカパーやWOWOWなどでも手軽にレンタルできる未公開作よりは、フェデリコ・フェリーニロベルト・ロッセリーニイングマール・ベルイマンジャン=リュック・ゴダールなどの巨匠の未公開作を放送してほしいと切に願う今日この頃です。全盛期のヨーロッパ作品は作品の権利を所持している会社が当時の製作会社と違うケースがアメリカよりも多いためレンタルの経過がややこしい。それでも切に願う。

現在のNHK・BSプレミアムで放送された「山田洋次監督が選んだ日本の名作100本」”家族編”と”喜劇編”で「秋刀魚の味」も名作として紹介もされていました。「日本映画100本」というのは松竹作品が多くを占めて居ます。セレクトがだいぶというか、大きな偏りがあるわけです。なぜに偏りがあるのかというと、単純に山田洋次が松竹で50年間のほぼ一筋の監督だからなんです。だから先輩監督(=小津安二郎島津保次郎吉村公三郎川島雄三木下惠介斎藤寅次郎野村芳太郎 )同期の監督(=森崎など)それに自作などを異常に多くセレクトしていたわけです。もちろん皆がいい名監督以上ですが、偏りは大きい。
日本映画史100年 (集英社新書)
「日本映画史100年」は2000年刊行。
最近の作品も名作はほとんどないのに無理やり選んでいたんです。悲しいことにNHKの企画のバランスを意識して最近の作品もセレクトしなきゃ問題があるのが現実だったんです。だから最近の名作にほど遠い作品も選ばれていました。ですが100タイトルを確認してみるとちゃんと全盛期がほとんどになっているからその辺は上手くやってらっしゃる。さすがは山田洋次。現実の名作は日本映画に300以上あります。秀作は500以上あるでしょう。最近色々見てこの数は嘘ではないと痛感しています。いずれ紹介したいのですが、事実マスコミが取り上げない作品の名作を去年もいくつか見ています。300以上500以上、これはアメリカやヨーロッパの歴代の名作数を余裕で上回るかも知れません。それだけ日本映画の全盛期というのは隆盛を極めたわけです。日本映画が1899年(=公式製作年数・撮影されたのは1898年)に誕生して115年の2014年。映画が日本に伝わり118年。2013年の興行はアニメが多くランク入りで、変革の時代ではあると思います。

まだまだ隠れた名作や秀作を紹介していくのもわずかながらも、このブログの役目でもあると思います。
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2014/02/06 17:21 | ランキング(11~COMMENT(1)TRACKBACK(0)  

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