映画における製造される女という生き物の肉体
4・エロス+虐殺(完全版)
アンダー・グラウンドの舞台でも知られた寺山修司もATG(日本アートシアターギルド)で映画監督を数本撮影していました。吉田喜重監督の場合はATG前の松竹時代の一番の代表作である名作1962年の「秋津温泉」の作風の製作の流れが「エロス+虐殺」にも継承されています。だから寺山修司よりは舞台要素が薄く松竹の先輩監督(木下恵介や中村登)の古典的作風も多少名残を残しています。それも理解できるとなお楽しめます。ここは引き之カメラで情景的シーン、中村登監督の継承描写だなあ~とかね。ちなみに中村登監督は今年生誕100年です。吉田喜重が今年80歳だから当時でも20年上だったんですね~~
このころの岡田茉莉子はこんな綺麗な花
エロス+虐殺(完全版)はフランス映画の全盛期60年代~70年代のヌーヴェルヴァーグ作風を和風に置き換えているところもある。たとえばヌーベルバーグの巨匠フランソワ・トリュフォーや巨匠ジャン=リュック・ゴダールの映像作風、カメラワークの展開の仕方や芝居のさせ方などがある、セリフ部分は吉田喜重らしい対話劇調になるけど所々さっきも書いた松竹の先輩監督から継承した部分が見え隠れして独特なバランスを構成していて面白い。これもたまに見たくなる作品。
わたくしすとはこのランキング対象の2011年に始めて見たわけではなくそれまでにも数回見ています。始めはなんだかわかりませんでした。でもそのときから変に気になる1本で2度目見てさまざまな解釈をしているうち自分なりな捕らえ方にたどり着かせてもらった作品でもあります。ヌーヴェルヴァーグ作風がありながらも日本映画でも作品。なんでも説明してしまう最近のエンタメ映画とは違うので、ある程な初心者以上の視聴者レベル=考える力が問われる内容です。わかりやすく言えばエロス+虐殺(完全版)もアングラ的では在りますが、他の普通な名作映画さえ上回る作品。
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2013/08/30 16:34 | ランキング(11~ | COMMENT(1) | TRACKBACK(0)