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巨匠に教わる大解剖””娘の味とはー。

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作品を盛り上げる名俳優たち
小津安二郎が出演シーンを極力抑えた嫁に行く娘に、今や最後の代表作がちゃんとある演技のできる大女優ともいえる「秋刀魚の味」の出演時はデビュー2年目の岩下志麻。すでに風格が別格で、神々しく貫禄にあふれている。出演シーンがピンポイントだけ数度のみ。でもこれが新鮮。してやられた。、内容に多大な影響を及ぼす。しかもセリフさえも少ないのが逆にいい。これも小津や脚本の野田高梧の確かな計算である。

岩下志麻は”極妻”こと「極道の妻たち」シリーズ8作(東映)だけじゃない。極妻以外に主演では松竹専属時代「古都」「死闘の伝説」「寝言泥棒」「 雪国」 「紀ノ川」、NHKテレビ小説の名作「おはなはん」の映画版前後作や、外国でも評価が高い「智恵子抄」など  ATGや独立プロでは「心中天網島」「卑弥呼」「はなれ瞽女おりん」助演では「切腹」「秋刀魚の味」「鬼龍院花子の生涯」 「瀬戸内少年野球団」 代表作は計20+ドラマ。だからこその大女優ですw秋刀魚の味のキャストロール上では売り出す意味合いもあって岩下⇒笠なのですが出番の多さから主役は父親役の笠智衆です。
<あの頃映画> 五瓣の椿 [DVD]

岩下の兄役は、松竹の現代劇俳優の大スター佐田啓二。今のスターは足元にやっと及ぶくらいの人。この作品のときベテラン俳優への姿を見せつつある(残念ながらこの作品の数年後に他界)妻役は当時松竹スター女優の岡田茉莉子。掃除姿が旋律・新鮮で印象に残る。岡田茉莉子は作品によって印象自体がらりと変わるから銀幕時代マジックは異様にすごい。小津なりな口うるさい世話焼きの役でした。父・笠の戦中時代の上官らしい東野英治郎。今やしがないラーメン屋良いつぶれ娘を超名女優杉村春子に情けなくて泣かれてしまう始末。貫禄や演技が絶妙に良くて妻かと思うw。小津も杉村春子を気に入って何作かで起用しています。それを見つめる笠や仲がいい中村伸郎北竜二。東野英治郎と杉村春子が親子ってすごい!杉村春子が娘というのには驚いた。超名優同士は親子はやるせなく行きそびれの娘のつらさ苦しさが父親も何気につらくさせる。互いにつらいという現実を討ったえてくる。それを感じたのだろう。

「秋刀魚の味」いいタイトルです。「秋刀魚を食べる日本人」が娘を送り出す「せつない味」。つまり、日本人を描いてるわけですね!”日本人父親なら生涯一度は来る手塩にかけた娘との別れ。の味でしょう。つまり「娘の味」。しょっぱい涙味。

60歳で小津監督が亡くなり今年で没後50年&生誕110年。
スカパーなどCS放送の衛星劇場で2013年12月に特集が組まれるようです。わたしもそれなりに熟知はしていますが、期待しています。戦後の小津調の作風が確立する以前の、無声映画(サイレント映画)の貴重な作品群に触れる良い機会です。


2位「秋刀魚の味」 1962年公開 松竹
監督・小津安二郎 脚本・野田高梧 小津安二郎 音楽・斎藤高順
製作・山内静夫 撮影・厚田雄春

出演=
笠智衆 岩下志麻 
佐田啓二 岡田茉莉子 三上真一郎
東野英治郎 中村伸郎 北竜二 加東大介 
三宅邦子 杉村春子 岸田今日子


残すはあと1位。1位と2位は激戦で当初はこの秋刀魚の味が1位の予定でした、しかし・・・映画がゆえにあることが起こり変動する。
卑弥呼 [VHS]主人の篠田正浩監督、わたしは録画したブルーレイのハイビジョン版で見ました。
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2013/11/24 23:06 | ランキング(11~COMMENT(0)TRACKBACK(0)  

巨匠が残したみずみずしい生涯最後の映画。

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総合2位秋刀魚の味 


世界の巨匠が日本人である。


小津安二郎という存在。
小津安二郎映画音楽集~小津安二郎生誕100年記念企画作品~


小津作品は不滅である。

これは、小津の遺作。

みてもみても何度見ても味わいがあるのが小津作品。また、見たくなる今の作品のように流行やテレビ延長の使い捨ての映画作品ではなく50年100年残るものにしなければならない。

これも秋刀魚ですがこれも保存ができて手軽においしいw

映画とはせめて、テレビ画面で見るものである。ただのソフトやデータが作品ではない。PC画面の動画やスマホの動画だと肌の感覚や空気感や見たことはならないし、伝わらない。小津作品にもそういうところもある。見て数年経過しても脳裏の残る。

洋画のアクションのようにエンタメのように、派手でただお金をかけた自己満足は1シーンもない。だが。しかし、めちゃくちゃ面白い。これが”本当の日本映画”である。

しかも、遺作なのに妙なみずみずしいセンスがある。水面にポトンと落ちた水滴がみずみずしく脳裏に広がる内容なのだ。カラー作品は数本しかない時点で小津安二郎という監督は当然、モノクロの監督でもあるのですが、カラーでも普通にやれます。それを見せてくれた作品でもある。

いつの世でも、普遍的で古くならない父親と娘との別れを描いています。嫁に行く予感を感じそんな時期だと思う父親や周囲のあせりと行きそびれになる不安。手塩にかけて宝のように育てた娘。いざ居なくなるなるといにしれぬ空虚感とただならぬせつなさ。の独自なセンスと味わい。最近の映画のように、リアルで生々しくないのがやはり良く心に残る。

小津さんならでは俳優のしゃべり加減やセリフの具合。独特なカメラワーク。曲調。そして、名俳優の笠智衆の出演。総合2位。悪いところがとくにないからこの順位なわけですが、やはり問題点が見当たらない作品でした。すばらしい出来。「脚本」「俳優」「芝居」「空気感」「音楽」「描写」「作風」「演出」が小津風に「秋刀魚の味」風にかみ合う。近年の作品のような変な空回りなどもちろんみじんも存在しない。そこには妥協もない。本当の巨匠が作品をかんぷなきまでに掌握しているからだ。

秋刀魚の味 [VHS]

後編へつづく。

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2013/11/16 21:45 | ランキング(11~COMMENT(1)TRACKBACK(0)  

ハイビジョン化がもたらす日本の滅亡

大きな渦に飲み込まれていく日本人。

ハイビビジョンとスタンダード サイズHDとSDと言うものについて書いてみようと思います。知り合いの映画ファンと話したときやはり今の”ハイビジョン化”はしかたないということになるのです。

地上波が、アナログから完全なるデジタルになりはや数年スカパーもその煽りを受けております。数年前は映画もスタンダードサイズが多かった、でもリマスター版などでスタンダードサイズ版ながらもきれいに見える修正版が放送されていたのです。しかし、そのリマスター版でさえなんか悲しくなる違和感を感じます。この違和感普通以上な映画ファンならわかるかと思います。
阪東妻三郎傑作選 DVD-BOX

味わいなんです。(いや正確には落ちる・・)最近の作品見てるんじゃないかと思うほどきれいな50年前の洋画とか最近ありますwリマスターのスタンダードサイズ版でもハイビジョンリマスター版もきれいには見えるけど製作当時または長い保存過程で自然に痛んだフイルムに染み付いた味わい、たとえば「じりじり映像の良さ」「言葉の劇中の俳優のセリフの途切れ感の良さ」「映像や音声があいまいで雰囲気で伝わる良さ」それも含めて作品なのです。このすばらしさが映画。

その味わいはリマスターされた修正版だけでもなくなる部分が多く、ハイビジョンリマスターされるとさらにクリーンに鮮やかになってしまいます。これにより良い意味の内容は”ぶち壊れる”のです。これはいいことなのか悪いことなのか正直わかりません。これから過去の良い作品を見る人は最初からというか、基本スタンダードサイズのリマスター版またはハイビジョンリマスター版なのです。これって”映画の味わいよい部分”を知らずにこういう風に考えることさえもなく映画を見てしまう悲しさがあるのではないではないしょうか?

地上波が、アナログから完全なるデジタルになりスカパーもその流れに逆らうことはできず段々と飲まれていくのだと思います。だから今のうちにスタンダードサイズまたはスタンダードサイズのリマスター版の映画を録画しておくのは大事かもしれないです。
剣戟王 阪東妻三郎

またまた一例、今年通称・阪妻(バンツマ)こと歴代日本の俳優上位にくる大俳優・阪東妻三郎の主演出演作、それがスタンダードサイズで大映時代の映画を数ヶ月連続で放送されていたのですが”古さがなおプラスアルファ”有りすばらしいのです。古さとはマイナスではなくより良くなる美化なのです。近年の作品が美化現象する可能性は・・?ハイビジョンリマスター版ではくっきりはっきり鮮やか音声も鮮明になる現実があると考えると悲しくもなるのです。

*スカパー約15年の放送では、アナログのスタンダードサイズ⇒デジタルスタンダードサイズ⇒スタンダードサイズのリマスター版⇒ハイビジョンリマスター版⇒? 
*商品や録画などでは、DVDのスタンダードサイズ⇒DVDのスタンダードサイズのリマスター版⇒DVDのハイビジョンリマスター版⇒ブルーレイディスクのハイビジョンリマスター版⇒? 

こんな感じで画質など向上細かく書いたら前にもいろいろあるからきりがないけど、これは幕末の尊王攘夷みたしなかんじで天皇主権や新撰組は滅び、来るべき時世の流れで仕方ないのかもしれません。

日本映画スチール集 剣聖阪東妻三郎―古林義雄・石割平コレクション
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2013/11/08 23:24 | 作品外COMMENT(0)TRACKBACK(0)  

東京に現実に存在したカルチャーの発信地と題された伝説。

11月になりました10月の注目セレクトをしてみました。
ひさびさに洋画を取り上げます。映画視聴本数は10月映画本数52本到達し、ペースを減らしだして2ヶ月、あと数本で2013を閉じる予定です。

スカパーの衛星劇場では小さな映画館の特集をやっていました。衛星劇場は今ではスカパーだけではなくひかりTVやJ:COM、auひかり、CATVで視聴出来るようになっています。ミニシアターの思い出~シネ・ヴィヴァン・六本木~という映画館のドキュメンタリーを放送していました。初代支配人の苦労話は痛々しいエピソードもありながら楽しいw

ゴダール作品は一時的な興行的には失敗でしたが、そのカルトさやマニアックさから一部の絶大な指示を受けて固定客がついたらしくそれは長期に渡れば成功ともいえる。この部分には感銘しました。わたしなりな解釈に置き換えてみました。

(*ゴダールこと、ジャン=リュック・ゴダールとは、数名しかいない存命の世界的映画監督の巨匠であり、前衛・芸術な作品群のフランス映画・ヌーヴェルヴァーグの旗手。ヌーヴェルヴァーグというわかりやすくいうとヌーヴェルヴァーグ流派を作った監督なわけで、ものすごい人です。)

東京の六本木に存在したカルチャーの発信地と題された伝説のミニシアター。(1883~1999)衛星劇場では今までも名ミニシアター特集をしてきましたが、ヴィヴァン・六本木もヨーロッパ映画を日本に紹介する役割も担っていた。今回の企画にも貴重作も混じっているからファンたまらないプログラムでもあります。6ヶ月連続やるとかどんなラインナップになるのか楽しみでもあります。10月にも未だハイビジョン化していない貴重な作品も放送していました。
革命前夜  <HDリマスター版> [DVD]
革命前夜」から
ベルナルド・ベルトルッチ監督の「暗殺の森」(1970)製作、イタリア・フランス・西ドイツ
「暗殺の森」は超有名作でもあるのですでにハイビジョン化していますが、10月他の2本はスタンダード版で放送されていました。原版の良さを味わえます。
エリック・ロメール監督の「緑の光線」(1987)フランス
ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞&国際批評家賞を受賞したロメールの「喜劇と格言劇」シリーズ第5作目。
●エリック・ロメール監督の「レネットとミラベル 四つの冒険」(1987)フランス
同じくロメールの監督作でこれはレア作品。商品化は一応はされています。
あやしい。仲むつまじい二人の女子がなにしてる・・・
11月はというと2本。
エットーレ・スコラ監督の「特別な一日」(1977)イタリア・カナダ
ソフィア・ローレンマルチェロ・マストロヤンニ主演の有名作。レア作品だけではこの企画は成り立ちそうにないのでこういう有名作がなきゃならないみたいです。いつでも放送してるような作品が含まれてるので個人的には残念です。普通な映画ファンは見てるような作品です。
○エリック・ロメール「パリのランデブー」(1995)フランス
これまたロメールのレア作品。一応ソフト化もされていますが数は少ないようです。

エリック・ロメールが日本でも有名な監督ゆえ需要はあるものかと思われます。ロメール監督というのはゴダール作品ほどカルトではないのが受け入れやすそうではあります。2月までのラインナップはスケジュール出てるのでみてみましたが、ゴダールのレア作品は含まれていないような・・・ゴダール自身の拒否があるからか、はたしてどうなるやら、カルト作に期待します。
暗殺の森【完全版】【字幕ワイド版】 [VHS]
「暗殺の森」は、逢坂 剛の小説「暗殺者の森」とは無関係です。の、はず・・ん~~
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2013/11/01 17:21 | 洋画・探求COMMENT(1)TRACKBACK(0)  

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