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【忠臣蔵伝説】本数と観客動員と多様性の3拍子実積 with水戸黄門



忠臣蔵それは日本最大の映画の題材。これはマスコミがきちんと取り上げない事実です。


忠臣蔵の題材作は300以上が確認できますが、その中でもっとも実積があるといえるのが片岡千恵蔵だったといえます。忠臣蔵映画はサイレント時代に尾上松之助が定着させ、戦後の最大の映画黄金期は千恵蔵が牽引したといえるでしょう。この二人の間には松之助に流れを継承し、サイレントからトーキー(音声付き)直後まで忠臣蔵映画を牽引した大河内傳次郎の存在も忘れてはならないところですが、今回は片岡千恵蔵の目線で前回の流れをさらに広げていきます。



さて「【忠臣蔵伝説】本数と観客動員と多様性の3拍子実積 with水戸黄門」開園です。





前回記事⇒真実の国民的映画スターの忠臣蔵28つのウラを暴け




改修版 片岡千恵蔵の全部の忠臣蔵映画




全快も載せていますが、今回も関わりがあるので掲載しました。
それと下記をさらに下記の部分と比べてもらえるように載せています。

茶色は大ヒット、またはそれ以上


1928『忠魂義烈 実録忠臣蔵 』 服部一郎右衛門、萱野三平 ・大ヒット 助演
1928『間者』 間重次郎 主演、または主演級
1928『実録忠臣蔵』(忠魂義烈 実録忠臣蔵と間者の改修作)服部一郎右衛門、萱野三平 助演
1930『元録快挙 大忠臣蔵 天変の巻 地動の巻』 浅野内匠頭 
  ・大ヒット 天変の巻は主演の可能性

1930『元禄快挙 大忠臣蔵 天変の巻 地動の巻(断片版)』 浅野内匠頭 天変の巻は主演の可能性

1931『元禄十三年』 岡部美濃守、岡部辰馬  主演
1933『堀田隼人』 堀田隼人、浅野内匠頭 主演
1934『忠臣蔵 刃傷篇 復讐篇』 浅野内匠頭、岡野金右衛門 
  ・大ヒット 刃傷篇の主演と復讐篇の助演

1934『天保忠臣蔵』 本田正人 ・元禄以外 主演
1937『浅野内匠頭』 浅野内匠頭 主演
10
1938『忠臣蔵 天の巻』 浅野内匠頭 ・大ヒット 主演
1938『忠臣蔵 地の巻』 立花左近   ・大ヒット 助演、事実上の2番手扱い

1938『忠臣蔵 天の卷 地の巻』(3分尺の断片版)浅野内匠頭、立花左近 主演と助演
1941『忠臣蔵 天の巻 新篇(前編)』 浅野内匠頭 主演
1941『忠臣蔵 地の巻 新篇(後篇)』 立花左近 助演、事実上の2番手扱い
15
1941『忠臣蔵 天の巻 地の巻(総集編)』浅野内匠頭、立花左近 主演と助演
1944『高田馬場前後』 浅野内匠頭 主演 嵐寛寿郎とダブル主演
1952『赤穂城』 浅野内匠頭、大石内蔵之助 主演
1952『続赤穂城』  浅野内匠頭、大石内蔵之助  主演
1953『初祝二刀流(高田馬場前後の改題、改修)』 浅野内匠頭 嵐寛寿郎とダブル主演
20
1953『女間者秘聞 赤穂浪士』 大石内蔵之助 主演
1956『赤穂浪士 天の巻 地の巻』  立花左近 
  ・超大ヒット 助演だが部分主演、表記はトップ *年間観客動員1位 2000万人近く

1956『忠臣蔵 天の巻 新版(前編)』 浅野内匠頭 主演
1956『忠臣蔵 地の巻 新版(後篇)』 立花左近 助演、事実上の2番手扱い
1959『忠臣蔵 桜花の巻 菊花の巻』 大石内蔵助
  ・超大ヒット 主演 *年間観客動員4位 1500万人以上

25
1959『血槍無双』 俵星玄馬 主演 大川橋蔵とダブル主演
1961『赤穂浪士(1961)』 大石内蔵助 
  ・超大ヒット 主演 *年間観客動員ベスト2位 1300万人ほど

1963『ギャング忠臣蔵』 大石良雄 ・現代劇 主演
28



28作中のほぼが代表作といっていいでしょうし、大ヒットに含まれていない作品もほぼヒットしています。それだけ片岡千恵蔵が36年の長期間で認められた俳優であったことを意味しています。

当時の映画俳優は契約制度なので、現在のフリーや事務所に守られている俳優たちよりもはるかに厳しいです。毎年のように結果を出さないと出演さえできませんので、現在の50年芸歴よりもいやそれ以上よりもはるかに上に該当します。


新編 忠臣蔵 上
新編 忠臣蔵 上

あの国民的大作家の吉川英治が書いていた忠臣蔵小説 
残念ながら吉川英治の忠臣蔵は映画化されることがありませんでした。映画化今後ありえるのか?
吉川英治は大衆小説の名手でも200本を越す映画化作品が存在、小説は読みやすい作風も魅力です。






片岡千恵蔵が2役演じた忠臣蔵題材の出演映画




片岡千恵蔵は実に多彩な要素を持つ忠臣蔵映画に出演しました。
その一つが2役演じた忠臣蔵題材の出演映画です。



片岡千恵蔵が2役演じた忠臣蔵題材の出演映画

1928『忠魂義烈 実録忠臣蔵 』 服部一郎右衛門、萱野三平  助演
1928『実録忠臣蔵』(忠魂義烈 実録忠臣蔵と間者の改修作) 服部一郎右衛門、萱野三平  助演
1931『元禄十三年』 岡部美濃守、岡部辰馬  主演
1933『堀田隼人』 堀田隼人、浅野内匠頭 主演
1934『忠臣蔵 刃傷篇 復讐篇』 浅野内匠頭、岡野金右衛門  刃傷篇の主演と復讐篇の助演
1941『忠臣蔵 天の巻 地の巻(総集編)』浅野内匠頭、立花左近 主演と助演
1952『赤穂城』 浅野内匠頭、大石内蔵之助 主演
1952『続赤穂城』  浅野内匠頭、大石内蔵之助  主演



片岡千恵蔵が2役演じた忠臣蔵題材の出演映画は改修作や総集編を含むと、通産で8作も存在しています。これはサイレント以降も活躍した俳優の中では歴代トップです。正確にはトップタイです。実は月形龍之介の場合も8作が存在していますが、元の作品は1938『忠臣蔵 地の巻』と1938『忠臣蔵 天の巻』の2作のため、実際は片岡千恵蔵の方が上回っているといえるでしょう。



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まさかの忠臣蔵のお酒が存在、映画愛子も始めて知りました。忠臣蔵ファンならずとも価値があるお酒が忠臣蔵大吟醸です。柔らかな旨味とキレの良い爽やかな喉越し、まさに忠臣蔵映画をイメージ、しかも平成22酒造年度の全国新酒鑑評会にて、金賞を受賞したお酒が忠臣蔵大吟醸です。産地は兵庫県赤穂市なので、忠臣蔵や赤穂浪士の地元、名前どおりの忠臣蔵のお酒です。




月形龍之介の2役演じた忠臣蔵題材の出演映画8作





月形龍之介の2役演じた忠臣蔵題材の出演映画8作 役名は原惣右衛門、小林平八郎のみ

1938 『忠臣蔵 地の巻』  原惣右衛門、小林平八郎
1938 『忠臣蔵 天の巻』  原惣右衛門、小林平八郎
1938 『忠臣蔵 天の卷 地の卷』  3分尺の断片がNFC所蔵で現存 原惣右衛門、小林平八郎
1938 『忠臣蔵 天の巻 地の巻 (総集編)』 原惣右衛門、小林平八郎
1941 『忠臣蔵 地の巻 新篇(前編)』  原惣右衛門、小林平八郎
1941 『忠臣蔵 天の巻 新篇(後篇)』  原惣右衛門、小林平八郎
1956 『忠臣蔵 天の巻 新版(前編)』  原惣右衛門、小林平八郎
1956 『忠臣蔵 地の巻 新版(後篇)』  原惣右衛門、小林平八郎


*忠臣蔵 天の卷 地の卷の卷は現存題名 現代は基本使わない漢字
*NFC=日本フィルムセンター、事実上の「東京国立近代美術館フィルムセンター」の意味
*1956 『忠臣蔵 天の巻 新版(前編)』と『忠臣蔵 地の巻 新版(後篇)』は(総集編)の扱いではなく、ここはそのまま表記しています。


2役演じることは評価なのか、と考えられる方もいるでしょうが、はい、一つの評価です。

俳優として1作で2役を演じることも多様性や重要さを任せられた一つの評価になります。現在でいうと声優に多く見られる傾向がありますが、声優の場合は他のいない、資金がなく余分に声優を雇えないなどの理由から一人に数役やらせることがあります。もちろんガヤなどは含みませんが、一言や二言の役など、作品が評価されていることは最低限ですが、2役以上をレギュラーで演じていればそこそこ大きな部分があるでしょう。

ですが、いくらアニメが伸びているとはいえ、片岡千恵蔵や月形龍之介は実写の俳優です。2役がいくら戦前、戦後直後とはいえ、やはり大きな評価になります。さらに一部の人だけが知っているものや無名作ではなく、「日本を代表する忠臣蔵映画」ですから、その大きさは計り知れません。





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月形龍之介といえば、通産で520作以上の映画に出演した日本を代表する超大名優、戦後の映画出演は260作以上が助演があり、主演21作でしたが、東映で「水戸黄門漫遊記シリーズ」が13作が作られ、通産で3000万人以上の観客動員を記録したしたとも考えられます。水戸光圀(水戸黄門)は当たり役となり、年間観客動員ベストテンにオールスター3作のうち2作がランクインしています。ちなみに2作のみで2000万人近くを動員しており、爆発的な大ヒットを記録しました。上記の水戸黄門は1957年に公開された『水戸黄門(1957)』であり、シリーズ11作目に該当します。


今回で取り上げた片岡千恵蔵とも共演、上記には下部分に片岡千恵蔵と市川右太衛門、上記部分は東千代之介と大川橋蔵??、いえ左が大川橋蔵、右が中村錦之介で4名なのでしょう。中央の左に東千代之介、中央の右に大友柳太朗と桜町弘子かな。

特に片岡千恵蔵と市川右太衛門、大川橋蔵、中村錦之介の4名は中央の月形龍之介より大きく表記されています。月形龍之介は大名優でしたが、この映画の頃のスターとしては4名の方が上なので妥当といえば妥当でしょう。




片岡千恵蔵が2役演じた忠臣蔵題材の出演映画





片岡千恵蔵が2役演じた忠臣蔵題材の出演映画

1928『忠魂義烈 実録忠臣蔵 』 服部一郎右衛門、萱野三平  助演
1928『実録忠臣蔵』(忠魂義烈 実録忠臣蔵と間者の改修作) 服部一郎右衛門、萱野三平  助演
1931『元禄十三年』 岡部美濃守、岡部辰馬  主演
1933『堀田隼人』 堀田隼人、浅野内匠頭 主演
1934『忠臣蔵 刃傷篇 復讐篇』 浅野内匠頭、岡野金右衛門  刃傷篇の主演と復讐篇の助演
1941『忠臣蔵 天の巻 地の巻(総集編)』浅野内匠頭、立花左近 主演と助演
1952『赤穂城』 浅野内匠頭、大石内蔵之助 主演
1952『続赤穂城』  浅野内匠頭、大石内蔵之助  主演


1931『元禄十三年』と1933『堀田隼人』はフィルムが現存していないとされています。『元禄十三年』(製作=千恵蔵プロダクション 配給=日活)は有名な小説家の林不忘(はやしふぼう)が原作であり、「丹下左膳シリーズ」や「大岡政談」やその大岡政談の「魔像」もの、別名義の牧逸馬の「新しき天」などの映画化原作を残しました。世間的な面では林不忘で知られているといえるでしょうし、監督=稲垣浩、脚本=伊丹万作の名コンビであり、気になる作品の一つです。それと岡部辰馬の妻役は片岡千恵蔵と恋愛騒動があったことでも知られる入江たか子でした。



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2018/01/19 00:00 | 超大物俳優COMMENT(1)TRACKBACK(0)  

真実の国民的映画スターの忠臣蔵28つのウラを暴け



忠臣蔵映画といえば俳優はやはり片岡千恵蔵といえるでしょう。これは日本映画にちょっと詳しい人であれば誰でも知る有名なところです。忠臣蔵映画といえば、日本映画の歴代でもっとも特別な題材であり、そのトップは同時に事実上の国民的映画スターを意味しています。

いくら他のシリーズ映画で当たって多くの観客を呼んでも、忠臣蔵で当たらなければ実積が弱いという部分も存在しているからです。それほど大きなものでした。特に時代劇映画の黄金期は忠臣蔵で当たって、真の一人前という部分もあったからです。


忠臣蔵映画といえば俳優はやはり片岡千恵蔵、それは何故か、それはもっとも映画館に観客を動員した映画スターの部分はもちろんのこと、実に多彩で幅の広い作品群に忠臣蔵映画、出演や主演を果たしたからです。片岡千恵蔵は世界で歴代最多の10以上の代表題材や代表シリーズがありますが、その中でも忠臣蔵映画はトップということができます。


今回は「真実のの国民的映画スターの忠臣蔵28つのウラを暴け」と題して展開していきます。

前回の記事⇒11代目の歌舞伎「仮名手本忠臣蔵九段目」と幻映画『忠臣蔵五段目』に隠された残像




片岡千恵蔵の全体の忠臣蔵映画





片岡千恵蔵の忠臣蔵映画 通産28作 1928~1963 36年 2018.1時点版

1928『忠魂義烈 実録忠臣蔵 』 服部一郎右衛門、萱野三平 ・大ヒット 助演
1928『間者』 間重次郎 主演、または主演級
1928『実録忠臣蔵』(忠魂義烈 実録忠臣蔵と間者の改修作) 服部一郎右衛門、萱野三平 助演
1930『元録快挙 大忠臣蔵 天変の巻 地動の巻』 浅野内匠頭 ・大ヒット 
  天変の巻は主演の可能性
1930『元禄快挙 大忠臣蔵 天変の巻 地動の巻(断片版)』 浅野内匠頭 天変の巻は主演の可能性

1931『元禄十三年』 岡部美濃守、岡部辰馬  主演
1933『堀田隼人』 堀田隼人、浅野内匠頭 主演
1934『忠臣蔵 刃傷篇 復讐篇』 浅野内匠頭、岡野金右衛門 ・大ヒット 
  刃傷篇の主演と復讐篇の助演
1934『天保忠臣蔵』 本田正人 ・元禄以外 主演
1937『浅野内匠頭』 浅野内匠頭 主演
10
1938『忠臣蔵 天の巻』 浅野内匠頭 ・大ヒット 主演
1938『忠臣蔵 地の巻』 立花左近   ・大ヒット 助演
1938『忠臣蔵 天の卷 地の巻』(3分尺の断片版)浅野内匠頭、立花左近 主演と助演
1941『忠臣蔵 天の巻 新篇(前編)』 浅野内匠頭 主演
1941『忠臣蔵 地の巻 新篇(後篇)』 立花左近 助演、事実上の2番手扱い
15
1941『忠臣蔵 天の巻 地の巻(総集編)』浅野内匠頭、立花左近 主演と助演
1944『高田馬場前後』 浅野内匠頭 主演 嵐寛寿郎とダブル主演
1952『赤穂城』 浅野内匠頭、大石内蔵之助 主演
1952『続赤穂城』  浅野内匠頭、大石内蔵之助  主演
1953『初祝二刀流(高田馬場前後の改題、改修)』 浅野内匠頭 嵐寛寿郎とダブル主演
20
1953『女間者秘聞 赤穂浪士』 大石内蔵之助 主演
1956『赤穂浪士 天の巻 地の巻』  立花左近 ・超大ヒット 助演だが表記はトップ 
  *もっとも高い競争力の時期に年間観客動員1位 2000万人近く 
  これまでの1位の松竹を上回り、東映が創立初の年間観客動員1位を記録
1956『忠臣蔵 天の巻 新版(前編)』 浅野内匠頭 主演
1956『忠臣蔵 地の巻 新版(後篇)』 立花左近 助演、事実上の2番手扱い
1959『忠臣蔵 桜花の巻 菊花の巻』 大石内蔵助 ・超大ヒット 主演 
  *歴代高い競争力の時期に年間観客動員ベスト10入り 1500万人以上 
  この年の東映は歴代で最大の観客動員を記録
25
1959『血槍無双』 俵星玄馬 主演 大川橋蔵とダブル主演
1961『赤穂浪士(1961)』 大石内蔵助 ・超大ヒット 主演 
  *もっとも高い競争力の時期に時代劇映画で年間観客動員ベスト10入り 1000万人以上 
  東映はこの年も年間観客動員1位を連続記録中
1963『ギャング忠臣蔵』 大石良雄 ・現代劇 主演



忠臣蔵映画で約36年の主演は言うまでもなく歴代1位です。尾上松之助でさえ、20年に及んでいませんし、約半分ほどでした。主演本数ではサイレント映画のみで活躍した映画スターの尾上松之助に次ぐ、2位といえますが、次回に詳しくは迫りますが観客動員は圧倒的に上だと考えられる歴代1位です。尾上松之助の頃の日本映画はこれから伸びていく勢いはありましたが、まだまだ未熟な総明記でした。

見やすいように5作ごとに区切っています。そのまま28作を載せられても見にくいことは、個人的な他のブログなどを読んだ経験が生かされています。





『忠魂義烈 実録忠臣蔵』と『実録忠臣蔵』と千恵蔵と






商品化されている『実録忠臣蔵』についても少し取り上げたいと思います。

実録忠臣蔵 [DVD]
『忠魂義烈 実録忠臣蔵』の改修作であるといわれる実録忠臣蔵 [DVD]です。日本映画の父、日本初の巨匠、日本映像芸能の父、マキノ省三(主な別名義は牧野省三)の監督作で、製作ではいくつかありますが、マキノ省三の監督作で片岡千恵蔵の唯一の出演作といわれています。

*改修作とは視聴不可能な部分を上手く省いたり、見やすい作品にするために部分的に追加するなどの要素を施した映画



この映画は当時の舞台の大物俳優の伊井蓉峰(いいようほう)が大石内蔵之助、若手で実積を積んできたスター俳優の諸口十九(もろぐちつづや)が浅野内匠頭、千恵蔵とも多数の共演作がある名優の市川小文治が吉良上野介、嵐長三郎(のちの嵐寛寿郎)が脇坂淡路守、すでに監督デビューし、鮮烈な活躍をスタートさせていたのちの巨匠のマキノ正博(にちにマキノ雅弘)が大石主税、若き日の超名優の月形龍之介が清水一角、

のちの名プロデュサーの玉木潤一郎や戦前を代表する大女優の鈴木澄子、名脇役の松浦築枝のヒロイン時代、牧野省三の四女でスター女優のマキノ智子など、新旧スターが数十名出演し、多くの魅力が見つけられ、豪華布陣の超大作が垣間見れます。



片岡千恵蔵は比較的に中心に近い役柄の服部一郎右衛門と萱野三平の2役を演じています。萱野三平はのちの東映時代の後輩の里見浩太朗がテレビドラマの名作『あゝ忠臣蔵』(1969)で演じています。『忠魂義烈 実録忠臣蔵』とその改修『実録忠臣蔵』のことをわかってて演じさせたのが、ただの偶然なのか気にかかる部分です。偶然だとしたら里見浩太朗との師弟や運命(さだめ)でしょうか。





片岡千恵蔵とデフォルメの忠臣蔵映画 業界の後輩の市川雷蔵と勝新太郎への影響






1934『天保忠臣蔵』はタイトルどおり元禄を天保年間に置き換えて作られた斬新な忠臣蔵映画、片岡千恵蔵は特に戦前に置き換えやいじくり、デフォルメ、風刺劇など色々な言い方がありますが、デフォルメ時代劇でも当たった俳優でした。それは時代劇映画や日本映画全体の発展にいくつかの貢献しました。


たとえばここでは2作のみに絞りますが、『弥次喜多道中記(1938) 』は弥次喜多題材でありながら、遠山金四郎の片岡千恵蔵がねずみ小僧の杉狂児と旅をしてしまうという内容があり、人を裁く裁く方と義賊(庶民の人の役に立つ盗っ人)であっても今で言う犯罪者の裁かれる方を描いたデフォルメの要素も存在しています。これも代表作です。

実はこの映画戦後に大映で市川雷蔵と勝新太郎の主演によるリメイク作の1955『怪盗と判官』 が作られています。もちろん視聴しているわけですが、遠山金四郎を市川雷蔵が演じ、鼠小僧次郎吉(ねずみ小僧)を勝新太郎が演じています。ここでは反れるので避けますが、市川雷蔵も勝新太郎も片岡千恵蔵の代表作『弥次喜多道中記(1938) 』だけに留まらず、ほかにもリメイクや演じた役を多く演じています。

弥次喜多道中記 [DVD]
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時代劇映画には珍しいパッケージの黄色のデザインの装飾、権利を所有している日活がどこかに依頼して考えたのでしょう。インパクトがあります。上記の千恵蔵と映る女優は誰でしょうか。原駒子、中野かほる、比良多恵子??この辺を探るのも映画の面白さです。


天保忠臣蔵』だけじゃない。『清水港』や『続清水港』




さらに日活オールスターで描かれた『清水港』や『続清水港』は巨匠のマキノ雅弘(当時はマキノ正博)が監督し、現代劇と時代劇をミックスさせ、特に1939『続清水港』は当時にかなりの評価されて、戦後に後輩の大川橋蔵などでリメイクが作られています。主演の片岡千恵蔵はこの2作を通じて政吉、現在で言う演出家の石田勝彦と森の石松の3役をコミカルに演じました。この中でタイムスリップが描かれているといわれ、当時に斬新な時代劇映画でこれも代表作でした。のちに大林宣彦で『時をかける少女 (1983) 』、さらにアニメ映画の『時をかける少女 (2006) 』などでもタイムスリップが描かれた映画がありますが、これのほうが40年以上も先です。これもすごい部分です。



戻りますが、この『天保忠臣蔵』も片岡千恵蔵のデフォルメの要素映画の代表格といえます。舞台は天保なのでそのまま天保年間です。天保年間は江戸時代の末期の1831年から1845年までの期間を指し、この時代の将軍は徳川家斉、徳川家慶でした。大塩平八郎の乱や高野長英、渡辺崋山らが弾圧を受けた蛮社の獄(ばんしゃのごく)、天保の改革が特に有名です。

天保忠臣蔵』は片岡千恵蔵の単独主演では初のオール・トーキー(全編に音声がある)忠臣蔵要素を持つ映画で、日本映画が歴代上位の名コンビ、稲垣浩が監督と脚本、撮影は石本秀雄による黄金トリオで映画化されました。



最後にデフォルメの映画は現在のアニメ映画の飛躍にも流れとして大きな影響を与えています。片岡千恵蔵はアニメに1作も声優で出演していませんが、ものすごいことにアニメに影響を与えていたのです。これも忘れてはならない部分です。


今回のウラリンク⇒【ウラ版】真実の国民的映画スターの忠臣蔵28つのウラを暴け


前回の裏側⇒【忠臣蔵映画と黒澤明】極端な欧米志向監督を忠臣蔵映画は許されず



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2018/01/06 00:02 | 超大物俳優COMMENT(1)TRACKBACK(0)  

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