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大スターが初監督のお祝いに贈った”天変地異級”プレゼント✰

シリーズモノだけでも、こういう機会に書いてみると改めて市川雷蔵と言う俳優はすごいとおもう。代表作のジャンルや役柄やテーマ性がものすごく多彩なんです。今の俳優ではじゃありえない柔軟性・演じわけ確かな演技プランを兼ね備えていた大スターでもありながら同時に大名優&大名優でもあるのです。この記事のつづきです。

今回取り上げる作品は「化け猫御用だ」という1時間映画です。公開当時は別作品と抱き合わせの片方として公開されていました。 雷蔵と助監督時代から知り合いの田中徳三が監督です。雷蔵と言うと映像センスがすばらしい三隅研次監督とのコンビが「眠狂四郎シリーズ」(3作)や「剣 3部作」も印象にも残ります。肝心な「化け猫御用だ」(1958)とはというとは、これは田中徳三監督デビュー作なのです。この人は「座頭市シリーズ」(全26作中で7作の監督・勝新太郎の当たり役盲目の放浪あんまの活躍を描く)、「悪名シリーズ」(全16作中8作監督・勝新太郎・田宮二郎のやくざ義理兄弟を描くダブルキャスト)「兵隊やくざシリーズ」(全9作中7作監督・勝新太郎・田村高廣で描く戦争モノアクション)や(テレビドラマ時代劇では高橋英樹の「桃太郎侍」などでも多数監督し、活躍)
雷蔵、雷蔵を語る (朝日文庫)

わたくし・すと的には「わが映画人生」というスカパーの番組で田中徳三のインタビューを見たことあります。大映時代の活躍からテレビドラマへの転身の苦労や全盛期の黒澤明・溝口健二の話などの話をしていた記憶があります。
田中徳三のもうひとつの実積と言うのが助監督といえるでしょう。「羅生門」(1950)で時代劇と現代劇で活躍した巨匠黒澤明の助監督や 「雨月物語」(1953) 「山椒大夫」(1954) 「近松物語」(1954)で世界的に知られた時代劇巨匠溝口健二に仕え、「大江戸人気男」(1957)喜劇映画の巨匠斎藤寅次郎に、雷蔵主演でもある「炎上」(1958)で多彩な作品を手がけた巨匠市川崑 これも雷蔵主演の代表作「弁天小僧」(1958)で時代劇の父と言われる革新時代劇を作り上げてきた巨匠・伊藤大輔など、黒澤明・溝口健二・斎藤寅次郎・市川崑・伊藤大輔=5大巨匠の遺伝子を受け継いだ巨匠ではないけど活躍した映像家監督が田中徳三です。今現役なら大監督かもしれない 監督でも活躍し助監督としても大変優れた方が田中徳三と言う人なんです。

その田中徳三と市川雷蔵は「炎上」「弁天小僧」のとき主演俳優と助監督の関係で仲がよく田中徳三の監督デビュー作の「化け猫御用だ」で特別出演!しかしどうしたものでしょう。作品には主演の「赤胴鈴之助」シリーズが代表作の梅若正二や大映でデビューした大映の専属女優で相手役の近藤美恵子しか出ずに最後の監督の田中徳三テロップを迎えてしまいましたw

市川雷蔵が出ないんです。出ていないのでしょうか?いやいや出ていますでもなぜキャストロールに表記されないのか。製作の予定時点では市川雷蔵が出る予定ではなかったのですが、急遽初監督であることを知り、お祝いとしてデビュー作に隠れて出ることになったのです。製作幹部に隠れてです。さぞ撮影所にいない製作幹部の方々は試写会で驚いたことでしょう。大スターが勝手に映画に出てしまったわけで不祥事にもなりかねないでも、出てるんじゃ仕方ないということになり無事公開に踏みつけたのです。こんな面白いこと今の映画じゃできませんw

市川雷蔵と田中徳三 日本映画界を支えたこの二人の間には仕事のパートナーを越えた深い友情があったのでしょう。



ひさびさに時代劇専門チャンネルの「市川雷蔵 時代劇全仕事」から注目セレクトしてみました。

市川雷蔵 予告編集 [VHS]
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2013/09/19 22:43 | 超大物俳優COMMENT(1)TRACKBACK(0)  

コメント

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雷蔵の大菩薩峠(3部作)は雷蔵の代表作なんでしょうか?
スカパーで録画したらCMでいっていましたw
BYすと

No:72 2013/09/30 22:17 | ぼさつ様 #- URL [ 編集 ]

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