テレビで実現せずに消滅した”映画23作の盟友・河野寿一と東千代之介の名コンビ”
東千代之介は映画で河野寿一の作品に26作もの膨大な数に出演し、主演のコンビはそのほとんどの23作にも及びました。1950年代の日本映画は巨匠や名匠の数、映画スターの数、興行成績や名作の数などにおいて最大の黄金期とはいえ、当時は”今のように証言を残す概念があまりない時代”だったことから、多くの証言が残されていないのは非常に残念なところです。
前回の記事⇒本当の盟友とは、戦後の黄金期を支えた映画スター・東千代之介と東映時代劇を支えたアノ監督の底知れぬ絆
「新選組血風録」が実現せずに消滅した盟友・河野寿一と東千代之介の名コンビ
監督・河野寿一のテレビ監督時代の代表作ともいえるテレビ時代劇「新選組血風録(1965)」は最初の企画段階では、東千代之介が主役で近藤勇を演じる予定であったとの話も残っています。最初は有力な候補として予定に上がっていたようです。映画時代に河野寿一と東千代之介の名コンビが形成されていたこともこの候補に影響していたのかも知れません。
1965年の当時の東千代之介は、当時の戦後ベスト10に入る主演90作強、出演150作強の映画に主演していましたが、1963年の10月に公開された「無法の宿場」を最後に映画の主演は遠のいていました。 映画の出演さえも事実上、激減しており、映画俳優としても苦しい状況でした。
映画の出演も減少しつつある部分からテレビドラマへの話も浮上していましたが、家業の踊りを継ぐ時期とも重なったなど、いくつかの理由から東千代之介と盟友・河野寿一のコンビは、テレビ時代劇では実現しませんでした。
東千代之介=近藤勇の×マークと栗塚旭=土方歳三の○マーク、若手を押し出したキャスティングの真相
東千代之介と盟友・河野寿一のコンビがテレビ時代劇の「新選組血風録(1965)」で実現していれば、主役は東千代之介の近藤勇であり、栗塚旭の土方歳三が主演として描かれることはありませんでした。東千代之介が出演できなくなったことで、キャストなどや内容も合わせて変更されました。
千代之介が主演であれば、いわゆる1960年代を代表するテレビ時代劇の名作「新選組血風録(1965)」は作られていなかったのかもしれません。当時の若手の栗塚旭や沖田総司を演じた島田順司を大きめに押し出すこともあまりなかったでしょう。話によれば、東千代之介の主演が流れたことで、東映側もキャスティングに悩んだ末にまだ比較的に新人に近い栗塚旭の起用が決まったとCSの番組は話していました。
東千代之介の出演作。4名の時代劇スター&映画スターの競演「十七人の忍者」(1963)
DVD化されている東千代之介の出演作「十七人の忍者」(1963)は商品化されていることもあるのでしょう。そこそこ有名な作品です。里見浩太朗(当時・郎)の主演作で、近衛十四郎が準主役的な立場の”忍者”要素のある時代劇映画です。1961年の時点では、主演110作を越している大友柳太朗や90作強の東千代之介も徐々に脇役が多くなっていました。里見、近衛、大友、千代之介の4名の時代劇スター&映画スターの競演。
「十七人の忍者」の監督は、のちに888話に到達する「銭形平次」にも参加する若手監督の長谷川安人でした。里見浩太朗は現在的にはテレビ時代劇の印象が強いですが、映画時代は大きな代表作や数には恵まれませんでしたが、東映や両御大などの大先輩に評価されていた若手の映画スターでした。
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2016/09/02 18:41 | 邦画の探求 | COMMENT(0) | TRACKBACK(0)
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