8名の主演100本俳優の大作映画と年間観客動員10億人の超立役者



戦後の日本映画黄金期は1950年代、数度の年間観客動員10億人に到達しました。この観客動員に大きく貢献した立役者の1人がテレビやマスコミがちゃんと取り上げることがない、大人物の製作者(企画者)の玉木潤一郎です。

前回の記事⇒歴代の名製作者の閉ざされたサビ鍵扉をこじ開けたら、国民的大作家がいた


数度の年間観客動員10億人の立役者・玉木潤一郎




玉木潤一郎は、特に片岡千恵蔵の1950年代の数多くの時代劇・現代劇の多彩な代表作に貢献し、牧野省三賞を第2回で受賞。この玉木潤一郎は戦前の俳優時代に沼田紅緑と市川右太衛門が関与していました。

市川右太衛門との共演作自体は最低でも6作がありますが、その内の5作が市川右太衛門と沼田紅緑のコンビ作だったことも不思議な縁です。下記がその5作です。

主演俳優・市川右太衛門と監督・沼田紅緑のコンビ作へ玉木潤一郎が出演した5作

<公開年「タイトル」> <役柄・主演>
1926「討たるゝ兄弟」    都築角太郎と兄の三四郎・市川右太衛門(2役)
1926「牡丹燈籠(1926)」  荻原新三郎・市川右太衛門 お露・松浦月枝(のちの松浦築枝
1926「鳴門秘帖 第一篇」 法月弦之丞 ・市川右太衛門
1926「鳴門秘帖 第二篇」 法月弦之丞 ・市川右太衛門
1927「鳴門秘帖 第三篇」 法月弦之丞 ・市川右太衛門

製作は全てがマキノプロダクション(牧野省三の映画会社)



市川右太衛門と沼田紅緑のコンビ作に玉木潤一郎の姿!?そこに天下の名女優の姿




俳優時代の玉木潤一郎は市川右太衛門と最低でも6作で共演を果たしています。しかも、その内の5作が市川右太衛門と沼田紅緑のコンビ作だったことも不思議な縁です。

有名な怪談映画の題材の「牡丹燈籠(1926)」にも玉木潤一郎はストーリー展開に関与する”医者の山本志丈役”で出演しています。ヒロインのお露・松浦月枝(のちの松浦築枝)は、1920年代はヒロイン女優として活躍していたスターでした。個人的にも多くの作品で目撃していますが、戦後は数多くの東映を中心とした時代劇映画で存在感を示した名女優でした。

松浦築枝の通産出演映画は驚愕の300作以上といわれ、戦前と戦後の両方で活躍し、脇役が中心の日本映画界を代表する名女優の一人でした。市川右太衛門と松浦築枝は戦後も東映の時代劇映画でも多く共演しています。



天保水滸伝を題材の東映オールスター「血闘水滸伝 怒濤の対決」




個人的にも確認しているだけでも、市川右太衛門と松浦築枝は1959年の東映時代劇映画の名作「血闘水滸伝 怒濤の対決」においても共演を果たしています。ですが、劇中では同じシーンには出ていません。市川右太衛門と松浦築枝は最低でも「血闘水滸伝 怒濤の対決」までの1926~1959年の33年間以上の共演歴が存在しています。



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主な出演・市川右太衛門、片岡千恵蔵、中村錦之助 、大川橋蔵東千代之介大友柳太朗、月形龍之介、美空ひばり、若山富三郎、大河内伝次郎、進藤英太郎、山形勲、阿部九洲男、長谷川裕見子、花柳小菊、丘さとみ、大川恵子、千原しのぶ、原健策、喜多川千鶴、里見浩太郎 (現・朗)、伏見扇太郎、薄田研二、松浦築枝


監督・佐々木康と市川右太衛門のコンビ、天保水滸伝を題材とした侠客の東映オールスター時代劇映画は、東映では忠臣蔵映画に次ぐほどの超豪華な俳優陣です。上記の商品化のタイトルは何故か「血闘水滸伝 怒濤の対決」ではなく、「血斗水滸傳 怒涛の対決」となっています。闘が斗、伝が傳です。文字の表記が現代的に異なるだけであり、おおよその意味は同じです。


俳優に豪華さに関しては、のちに主演300作は千恵蔵、右太衛門の2名、主演100作が千恵蔵、右太衛門、錦之助 、大友柳太朗、月形、ひばり、大河、九洲男の8名、主演50作が12名越え、歴代でも上位です。また、現役の主演スターや元主演スターが一つの作品に15名以上出演しています。特に主演100作が7名は、海外作品や戦後の東宝や大映、日活、松竹、新東宝などの他社ではありえなく、東映だから実現した凄さです。



世界的な大記録もあり、佐々木康が巨匠の理由




劇中では片岡千恵蔵が1933年から通算で8度目の当たり役・国定忠治を演じ、市川右太衛門の主演・笹川繁蔵に次いで、2番手的立場を果たしています。監督の佐々木康は1952年以降の東映時代、市川右太衛門の「旗本退屈男」を戦後の21作中で10作(最多数)、「大名シリーズ」を9本中で最多の6本も手がけ、戦後では松田定次に次いで、オールスター映画を2位の9作で任されました。その実積だけでも巨匠に該当すると言えるでしょう。

さらに佐々木康は、戦後の東映の2大巨星スターの市川右太衛門を27作、(主演は26作)、片岡千恵蔵を24作 (主演は22作)を手がけたことでも知られています。監督で主演俳優と20作のコンビを2名と形成を成した戦後の一般映画監督は、佐々木康松田定次だけです。アメリカなどの海外には誰もいないことからこれも世界的な大記録と言えます。


「血闘水滸伝 怒濤の対決」で「牡丹燈籠(1926)」の玉木潤一郎、市川右太衛門と松浦築枝が再集結




驚くことに、この「血闘水滸伝 怒濤の対決」は玉木潤一郎が企画を担当しています。

配役も素晴らしいと感じました。大川橋蔵の旅がらすと笹川の子分の東千代之介の死の友情、大友柳太朗の平手造酒の愛する女と刺客として仕えた主人との板ばさみ、片岡千恵蔵の国定忠治と笹川繁蔵との渡世の絆の心地良さ、月形龍之介と美空ひばりのムフフに若山富三郎の登場、戦前の大スター・大河内伝次郎と超名優・薄田研二が一緒に地獄?

さらに、時代劇映画を100作以上に参加し、歴代でもっとも多くの映画スターと共に活躍した、殺陣師ナンバーワンの足立伶二郎と魅力や個性ある俳優陣の侠客もの独自な殺陣の素晴らしさ、数多くの名シーン、見所は多彩でした。いずれこまかく書くことにしますが、良い時代劇映画は見る人の力で作品がさらに面白くなります。また、今回の記事で取り上げている松浦築枝は、東千代之介と長谷川裕見子が主役のシーンで登場して効果的な機能を果たしています。


前半で取り上げている「牡丹燈籠(1926)」で、市川右太衛門と松浦築枝と俳優時代に共演していた玉木潤一郎が、1959年「血闘水滸伝 怒濤の対決」で企画者として、約33年後の二人の共演にも関与していたことが明らかになりました。日本映画の歴代でも少ない珍事です。

裏も更新
裏の「8名の主演100本俳優の大作映画と年間観客動員10億人の超立役者」

「歴代の名製作者の閉ざされたサビ鍵扉をこじ開けたら、国民的大作家がいた」の裏側


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2016/12/02 19:45 | 邦画の探求COMMENT(0)TRACKBACK(0)  

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