主演350作俳優と無冠の帝王と山本薩夫と是枝裕和と北野武の奇抜フィフスセッション
今回も内容を悩みました。違う路線にいってもよいと考えたのですが、まだ公開していない部分があり、ボツはもったないので公開させていただきます。アカデミー賞関連の記事もほかにも書いていたのですが、そちらは残念ながらボツになりました。前回は是枝裕和のある種の疑惑にも少し迫りましたが、海外で過剰に評価されてしまう日本映画界の最大レベルの珍事となった北野武にも触れようと考えています。
「主演350作俳優と無冠の帝王と山本薩夫と是枝裕和と北野武の奇抜フィフスセッション」開演です。ファイブセッションだと普通過ぎるのでフィフスセッションです。
前回記事⇒疑惑去来A 是枝裕和『万引き家族』と山本薩夫『にっぽん泥棒物語』の多数共通点
独立映画と主演映画350作俳優の意外と蜜な関係
山本薩夫の映画は製作に苦しみが伴う反骨精神や骨太な耐え、忍耐力を求められる内容が多く、監督としてもっとも苦労する内容の映画が多く、監督数は60作ですが、それ以上のそれ以上の価値を残したといえるでしょう。受賞数は少なめです。
戦前で言う千恵プロ(戦前の1920年代から1930年代の日本映画界に大旋風を巻き起こした俳優の片岡千恵蔵が主宰の映画会社、スタープロダクションともいわれ独立映画会社ともいえる部分がある)とも通じる部分がありますが、
*片岡千恵蔵 出演映画390作近く(現存の現存版、総集編、断片版も含む通産)、主演映画は350作強(現存の現存版、総集編、断片版も含む通産)を越すと考えられる超大俳優、戦前と戦後の両方で爆発的な大活躍、150を越す日本映画歴代最多の主演代表作を残し、幅広く数多くの功績を多方面に残しました。
独立映画は大手映画会社主体が基本的で、風当たりが強く、公開当時は正当に評価されてない場合が多くありました。戦前の千恵プロはその中で多くに作品が高く評価され、山本薩夫も戦後体制(監督主体概念)ではありますが、少なからずの恩恵を受けていたといえるでしょう。
山本薩夫の独立プロダクションの上位代表作
1952『真空地帯』 製作=新星映画(独立プロ)、配給=北星 好評価の戦争映画
1959『荷車の歌』 製作=全国農村映画協会(独立系プロ)、配給=新東宝 三國連太郎主演の異色、戦争、社会派作 毎日映画コンクール監督賞
1959『人間の壁』 製作=山本プロ(自身の独立プロ) 配給=新東宝 日教組テーマの異色、社会派作、毎日映画コンクール監督賞
1965『証人の椅子』 製作=山本プロ 配給=大映 社会派、裁判要素、ブルーリボン賞監督賞
当時の独立映画で4作というのは今以上に大きなものです。前回の関連記事でも取り上げている米国のアカデミー賞における黒人と白人に通じる部分もあり、定着していないもの(独立映画=黒人)と、定着してしているもの(大手映画=白人)の関係でもあり、定着していないものを定着させるために活動した部分があり、数字の何倍も苦しみが伴うからです。結因果的に山本薩夫はこの定着していないものを日本映画に定着させた功労者、開拓者でもあるのです。
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石川達三の同名小説を映画化した『人間の壁』です。横顔でお分かりかと思いますが、上記の人物は宇野重吉(特に舞台と映画で活躍した名優、映画は現代劇中心)と香川京子(現代劇中心に幅広い映画テーマの映画出演した美人女優、イメージ女優の代表格の一人、2019年3月時点存命)です。この2人が教師役で上位のメインキャストを勤め、山本薩夫の独立プロダクションの代表作の一つ、商品化されています。当時の新東宝専属の若手スターの宇津井健、三ツ矢歌子の2名、高橋とよ(別名義は高橋豊子、松竹の脇役俳優で有名)も教師役で出演しています。簡単にいえば当時まだ比較的珍しいらしい教師映画です。
『人間の壁』の製作は山本プロ(自身の独立プロ)で配給は新東宝であり、独立系映画です。教師要素に踏み込んだ日教組テーマの異色作、社会的要素や問題を強く訴える前衛作で、2度目の毎日映画コンクール監督賞を受賞しました。
3つの不思議な共通点
3つの不思議な共通点
山本薩夫監督の『にっぽん泥棒物語』(1965) 泥棒要素 ドキュメンタリー要素 社会的背景重視
是枝裕和監督の『万引き家族』(2018) 万引き要素 ドキュメンタリー要素 社会的背景重視
*泥棒要素と万引き要素は言葉違いの非常に近い要素
このことを知ると『万引き家族』の評価は個人的にかなり落ちます。この映画、最近の映画しか知らない日本人や海外の映画人も『にっぽん泥棒物語』ときちんと知らない人が多く、正当な評価ができていない部分も重なり、さらに過大評価された部分もあったと考えています。
もちろんパクリとまでは断言しませんが、オリジナリティはだいぶ薄く、多くの共通点から影響は受けているといわざる得ないです。
是枝裕和だけじゃない北野武と東映やくざ映画
是枝裕和だけではなく、北野武の映画も昔の東映映画のやくざ映画、任侠映画(喜劇要素があるものも多数)の影響作、現代版が多く、特にやくざ映画の影響が強く、オリジナリティ薄い、この事実を知らない、東映の任侠映画の数々をきちんと見ていない海外の人々に過大評価されている事実も存在しています。知識のない人間はメディアの報道に流されてしまうでしょうが、日本の映画ファンはこの事実を知っているのであまり評価していません。なかなかできません。
*やくざ映画と任侠映画はテレビやマスコミは説明が面倒なので同じもののように取り上げてしまうことがほとんどですが、事実は異なるもので、それぞれの基本的な定義が存在しています。
たとえば市川崑監督の『野火 (1959)』と塚本晋也監督の『野火 (2014)』 のように最初からリメイクにしてしまえばまだ良く、変な誤解や疑惑を生まない訳ですが、タイトルや呼称を変えて似たようなものを作るのは注意が必要です。今後の是枝裕和や北野武には、まあ難しいと思いますが、これまでにないレベルのオリジナリティが高い作品に期待しています。
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市川崑監督の『野火 (1959)』と塚本晋也監督の『野火 (2014)』の2作の比べてみるとさらに面白く観られます。
日本映画最大の無冠の帝王 娯楽映画三大巨匠と山本薩夫
三國連太郎は独立映画で大成功した巨匠の今村昌平とも本数は少ないですが成功を収めています。三國連太郎は大手映画会社(特に日活、東映、松竹)でも主演や助演で大成功を収めましたが、独立映画で大成功を収めた大名優です。
山本薩夫はヒット作を数十作残した東映の松田定次や東映や東宝などのマキノ雅弘、大映や東映の渡辺邦男(戦後の日本映画最大の黄金期の娯楽映画の事実上の三大巨匠、マキノ雅弘の戦前は受賞数が多い娯楽路線でない時期も有)のように全般が娯楽路線ではなかったにしても、受賞数は少なめです。娯楽映画はどんなに数字や評価を残しても基本的には賞がもらえませんでした。
1950年代中盤から1960年代前半の日本映画の最大の黄金期の観客動員ベスト10のみ、黄金期最多の11作がランクインし、最多の観客動員1億5000万人ほどを呼んだ大巨匠松田定次は、映画スター俳優の力が強かったにしても、短期間で大きな結果を出したことは事実です。
残念ながら功労賞さえももらえておらず、事実上の”日本映画最大の無冠の帝王”(ある意味のナンバーワン映画監督)のままです。日本映画界は未だに彼の正当な評価していないことに大きな問題を感じていますし、日本映画の未来のためにはきちんと再評価すべき乗り越えなくてならない人間の壁(上記部分登場の山本監督の映画とかけて)なのかもしれません。
今後も彼ほどの短期間でこのような大きな結果を出す娯楽監督はほぼ困難でしょう。賞があまり、またはなかったという面では山本薩夫は通じる部分もありますが、娯楽路線と前衛路線の違いがあります。山本薩夫は全体的に文化、知識人、評論家などに評価されてる、受賞する目的が強い路線の監督でした。
のちの大巨匠松田定次と”日本映画の御大俳優”と呼ばれた超大スター片岡千恵蔵の50作近い名コンビの最初の明確な大ヒット作、1947年『七つの顔』(探偵映画の要素を上位で持つ「多羅尾伴内シリーズ」第1作)、戦後生まれの映画においては日本映画最初のヒットシリーズとなりました。
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戦前のスタープロダクションと戦後重々独立映画 千恵蔵と薩夫が右往左往するとき
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2019/03/27 22:58 | 邦画の探求 | COMMENT(2) | TRACKBACK(0)
コメント
イチローは素晴らしい決断をした。3度目の蹴り
国民栄誉賞なんて事実上のD通賞でもあり、広告賞だからだ。貰うとさまざまな番組でさらにネタにされスポンサーに売りに出されて事実上裁かれる。ある種の企業の犬=干された「広告タレントレベル」に成り下がるのだ。
イチローよりも大きく劣る実積の松井がその典型、事実上や野球人としてはひどい位置にいる。こんなもので人を評価することがおかしい、イチローは今度もこれに否を唱えたことにもなる。
No:235 2019/04/05 13:18 | イチローは素晴らしい決断 D通賞=国民栄誉賞を蹴る #- URL [ 編集 ]
最古の和歌集の万葉集にある2文字から新元号「令和」5月からの新元号の令和、個人的には満足な元号にありました。聞いた瞬間は何故と思ったが、理由がわかると満足できた。
やはり日本最古の最古の和歌集の万葉集にある言葉、梅と関わりがある。しかし昭和で和の字を利用しているため、何か違和感がある。やはり複雑な字は選ばれない、
現代らしく字に中国の要素もなくしたのも日本らしさの協調でよかった。
No:234 2019/04/01 12:01 | 最古の和歌集の万葉集にある2文字から新元号「令和」 #- URL [ 編集 ]
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