NHKラジオ連続放送劇映画の脅威・観客動員3000万人と原作×作曲家の名コンビの驚愕
戦前から前後にかけての日本人にとってラジオは大きな存在でした。ラジオと生活は大きな関わりがあります。身近な、人間の生活と寄り添うにがラジオのよさでもあると考えていますが、そのラジオと映画にもさまざま関わりをもっています。
前回記事⇒時代劇スターや声優の不思議・伝統芸能に伝説の俳優たちの面影
ラジオ黄金期と通算の観客動員が脅威の3000万人の映画
下記の4つでまだ取り上げていない部分があります。それは「・NHKラジオ 放送開始90年(NHK、NHKラジオ第一、第二)」の部分です。
<2015年の映画界など>
●団体関連
団体、企業 活動内容 創業など (特集先)
・松竹 映画、歌舞伎 創業120年(衛星劇場)
・NHKラジオ 放送開始90年(NHK、NHKラジオ第一、第二)
・日本アニメーション 創立40年(キッズステーション)
・京都アニメーション 創立30年(アニメのCMなど)
~大まかなラジオと映画の関係~
1、ラジオの放送された作品から映画化された作品が多数
2、ラジオでブレイクした人物が映画で活躍
3、ラジオが映画スターの情報を伝える
「1、ラジオの放送された作品から映画化された作品が多数」の例で言うと、多数ある中でも知名度が高いのが「君の名は」「新諸国物語」などが挙げられます。両方とも映画化されて大ヒットを記録しています。
「君の名は」(映画・1953~54)は原作・菊田一夫、名匠・大庭秀雄であり、映像化は総集編含めて4作が製作されました。美男美女の悲恋感たっぷりのすれ違い恋愛模様の決定版ともいえる作品でした。主演は佐田啓二と岸恵子です。佐田啓二はすでにスターとしての地位がありましたが、この作品でさらに上のレベルに至り、”戦後の松竹を代表する男の映画スター”としての地位を確立させ、この作品の後も多数の代表作があります。また、岸恵子もこの作品が最大の代表作であり、映画スターに押し上げています。

新海誠の「君の名は。」と菊田一夫の「君の名は」
2016年の8月に監督の新海誠による「君の名は。」というアニメ映画が公開される予定です。”「。」の部分”以外はタイトルが同じであり、菊田一夫の「君の名は」の影響も受けているところがある可能性も考えられます。タイトルだけかもしれません。
NHKラジオ連続放送劇(放送劇・現在でいうとラジオドラマの作品群)で1952~1954にかけて放送され、当時では斬新な映画とラジオの相乗効果(コラボ)による興行効果を記録しています。公開された現代劇の3部作(総集編含まぬ)は、通算の観客動員が脅威の3000万人といわれています。
「君の名は」 という同名のラジオ・映画共通の主題歌の作曲・作詞も担当し、音楽家の古関裕而と菊田一夫の名コンビというものもヒットの要因の一つともいえるでしょう。他のラジオや映画などで二人のコンビも大きな役割を果たしています。
作・菊田一夫と音楽・古関裕而の名コンビによる連続放送劇と映画化作品
作・菊田一夫と音楽・古関裕而の名コンビによる連続放送劇と映画化作品
・鐘の鳴る丘
NHKラジオ1・1947~1950 「鐘の鳴る丘」
<声の出演・小山源喜、稗田淳など>
映画1・松竹
「鐘の鳴る丘 第一篇 隆太の巻」(1948)
「鐘の鳴る丘 第二篇 修吉の巻」(1949)
「鐘の鳴る丘 第三篇 クロの巻」(1949)
<主演・佐田啓二、高杉妙子 監督・佐々木啓祐>
・君の名は
NHKラジオ2・1952~1954 「君の名は」
<声の出演・北沢彪、阿里道子、古川緑波など>
映画2・松竹
「君の名は」(1953)
「君の名は 第二部」(1953)
「君の名は 第三部」(1954)
「君の名は 総集編」(1954)
<主演・佐田啓二、岸恵子 監督・大庭秀雄>
・忘却の花びら
ラジオ3
1957 「忘却の花びら」
<声の出演・残念ながら不明>
映画3・東宝
1957 「忘却の花びら」
<主演・司葉子、小泉博 監督・杉江敏男>
劇作家や作詞家、舞台やミュージカル、ラジオドラマや映画など幅広き巨星・菊田一夫
菊田一夫という人物は当時としては幅広く活躍した人物でした。劇作家や作詞家という枠組みには納まるももの、戦後の日本ミュージカルの草分けの人物ともいわれ、森光子の「放浪記」などの舞台やミュージカル、ラジオドラマや映画においても数作の代表作があります。現代につながっていく数以上の影響力も誇っています。
上記のラジオ1、映画1のNHKラジオ「鐘の鳴る丘」は1947~1950年で放送され、戦後のラジオドラマの全盛期においても大きな草分け的作品となっています。暴力的セリフが子供への悪影響があると考えられ、教育的な議論を呼んだとはいわれていますが、3作に分けて映画化もされてヒットしました。
ラジオ3映画3の「忘却の花びら」は作・菊田一夫と音楽・古関裕而のコンビの連続放送劇となった作品でもあり、最後のコンビによる映画化作品です。残念ながら連続放送劇の詳細は確認できません。この作品以前のデータは現存しているのに、この作品は確認されていないという部分は因果なものです。
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2016/04/24 18:15 | 邦画の探求 | COMMENT(0) | TRACKBACK(0)