土方歳三と栗塚旭と映画時代とまさかの予期せぬとらいあんぐる
土方歳三を映画で演じた俳優は戦前から数多く存在していますが、脇役や端役としてのみでした。置くが近藤勇が主演であった新撰組映画の脇役、鞍馬天狗の脇役で映画などで多く登場していました。土方歳三は歴史上ではある程度は知られた人物でしたが、主演で描かれるほどの注目はされていませんでした。
前回記事⇒稀代の土方俳優の形成に埋蔵された奥深き渓谷・歴代の名コンビと女師匠の淡き陰影
土方歳三の栗塚旭、松竹と東映の食い違いが発生していた
大衆的な意味では、栗塚旭によるテレビドラマ「新選組血風録(1965)」の主役の土方歳三の影響は、その後の新撰組映像化作品に多大な影響力を与え、その評判から映画も作られています。それが1966年の11月に公開された「土方歳三 燃えよ剣」です。
ドラマ「新選組血風録(1965)」は東映でしたが、映画はなぜかその後に作られた映画「土方歳三 燃えよ剣」は松竹でした。1965年の「新選組血風録(1965)」が放送が終了後に映画が製作されています。なぜ、栗塚旭の土方歳三の映画は東映ではなく、松竹であったのか、それは映画の契約は松竹でしていたことが挙げられ、1966年から1969年の3年間で11作に出演していますが、その11作のすべてが松竹大船や松竹が配給の映画です。
「新選組血風録(1965)」で名を挙げた栗塚旭は、NHKの朝の連続テレビ小説で大ヒットを記録した”おはなはん”の映画版の2部作の主演・岩下志麻の相手役として、起用されました。この作品から1966年から1969年の3年間で11作がスタートしています。おはなはんの2作の次に作られたのが、初の単独主演映画となる「土方歳三 燃えよ剣」でした。
栗塚旭の1960年代はテレビドラマでは東映に多く出演していましたが、映画は松竹という主に二つの分かれていました。
松竹映画「土方歳三 燃えよ剣」と「男の顔は履歴書」の意外なつながり
この表記が”燃えよ剣”になっている「土方歳三 燃えよ剣」は、名匠の加藤泰が脚本で参加、WOWOWや東映チャンネルでは加藤泰の生誕100年特集が2016年の今年に放送されていました。加藤泰はトータルでは東映がメインでしたが、1960年代の時点でも評価が高く活動の自由が認められ、外部の松竹での仕事も許されていました。
「土方歳三 燃えよ剣」が公開された1966年に、元やくざの映画スターとなる安藤昇と加藤泰は、1966年のやくざと任侠の要素を持つ松竹映画「男の顔は履歴書」で知り合い、のちに東映へ引き込むこととなります。主演数や代表作は少なめでしたがやくざ映画のちょっとしたスターとなる安藤昇の形成にも関与しています。安藤昇は任侠映画というよりはやくざ映画の方がメインでした。

↑↑80年代から監督として名を残す伊丹十三(当時・一三)はこのころはまだ俳優として活動していました。また、1971年からスタートする東映の”仮面ライダー”の印象が強い藤岡弘も初期は、松竹の映画やドラマに出演している時期がありました。この作品もその時期の作品ともいえます。菅原文太もこの数年後に松竹の脇役俳優から東映に移籍して、主演俳優でブレイクを果たします。
運命の1966年・栗塚旭の映画と名匠、本物の元やくざ(とらいあんぐる)
安藤昇が映画スターといっても、映画スターにも上から下までの格差あり、高倉健や鶴田浩二からすれば数分の一以下の存在に位置します。代表作の3つとなる東映の女任侠もの「緋牡丹博徒シリーズ」の3作の監督参加も、この「土方歳三 燃えよ剣」などの松竹関連の3作の監督、脚本の5作の仕事の後にやってきます。
あまり知られていませんが、松竹は東映の爆発的な任侠路線の興行成績の影響を受けて、やくざ、暴力や仁侠などの映画を数十作ほど製作していました。残念ながら質、内容や数、さらに数名のスターの成立をさせた東映には到底及びませんでした。
<2行で1966年・栗塚旭、加藤泰、安藤昇、の3名のおさらい>
・加藤泰の脚本作で、栗塚旭の初の単独の映画主演作「土方歳三 燃えよ剣」1966年
・加藤泰と元やくざ俳優の安藤昇との出会いの「男の顔は履歴書」1966年
ちなみに1969年の松竹映画「霧のバラード」に栗塚旭は主演作が存在しています。この映画はアクション、やくざ要素のある作品です。松竹でのやくざ映画のつながりも存在していましたが、栗塚旭と安藤昇との共演はありませんでした。加藤泰を通して1966年に安藤昇と栗塚旭もかするように関与がありました。
裏ブログ事実上の新作的になっております⇒三上康雄の「蠢動‐しゅんどう‐」と「土方歳三と栗塚旭と映画時代とまさかの予期せぬとらいあんぐる」の裏
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2016/09/22 15:37 | 邦画の探求 | COMMENT(0) | TRACKBACK(0)