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池波正太郎の初の時代劇映画・維新の篝火と若山富三郎の極道シリーズの奇跡のクロスオーバー



維新の篝火」という映画、池波正太郎の初の時代小説の映画化でした。映画化は2作目ですが、新撰組題材が時代劇作品の初の映画化だったことは意外な真実です。初の映画化は現代劇であり、相撲の名大関の名寄岩を題材に半生を描いた「名寄岩 涙の敢斗賞」が最初です。大関の名寄岩(なよろいわ)=本名・岩壁静雄(いわかべ しずお)でした。現代劇が最初であることも意外な真実です。

⇒前回記事近藤勇を歴代で当たり役した男と日本歴代最高齢映画スターのベスト3に出現した高倉健?!


東映の遅すぎるハイビジョン化の理由



数多くの映画を観てきていますが、「維新の篝火」も含めて、東映の映画はまだハイビジョン化が進んでいない映画が数多くあります。公開当時の素材のままで残す意味で、ハイビジョン化を行わない可能性もありますが、単純に数が多くあるということも考えられます。全般的にモノクロは後回しにして、カラー作品を優先してハイビジョン化が進められています。1950年代から1970年代前半までの東映は、大物のスター俳優が日本の映画会社の中で一番に多くいたため、数が膨大であるのでまだまだ先になりそうです。



若山富三郎の遅すぎるハイビジョン化とハイビジョン化された作品たち



例を挙げると若山富三郎の主演作のハイビジョン化も徐々に進められています。新東宝でデビューし、東映に移籍、一時的に投影を離れるものに、再び戻り、時代劇や現代劇で代表作を多数を残しました。映画出演は高倉健や菅原文太を50作近く上回る約250作にも及びます。この若山富三郎の主演作は2016年の時点でもそれほどはハイビジョン化は進められていません。

若山富三郎の映画デビュー当時の新東宝時代の最大の代表作”人形佐七捕物帖シリーズ”の一部、後に2クールのテレビドラマの時代劇も作られた東映の時代劇映画の1969年「賞金稼ぎ」、「五人の賞金稼ぎ」があります。最後のシリーズ代表作の”子連れ狼シリーズ”の全6作は、最近になってようやくハイビジョン化されて放送されましたが、全体の90作近い主演数のうちほとんどは現在も標準画質のままです。

最近に東映チャンネルで放送された若山富三郎の主演作の中で、1971年のやくざ映画の「悪親分対代貸」はハイビジョンで放送されました。カラー作でありながらシリーズ作が後回しにされている現状が存在しています。若山富三郎の助演の出演作は多く進められていますが、主演作はまだまだ数が少なめです。



若山富三郎の当たり役、島村清吉の”極道シリーズ”と菅原文太



若山富三郎は刺客を演じた”子連れ狼シリーズ”のほかにも、捕物時代劇の”人形佐七捕物帖シリーズ”や時代劇の”極悪坊主シリーズ”などがありましたが、”極道シリーズ”も忘れてはいけない代表シリーズでした。

若山富三郎が島村清吉役を演じたやくざ映画”極道シリーズ”(全11作)は、一部のみがハイビジョン化されています。菅原文太の代表作の一つの”まむしの兄弟”シリーズとクロスオーバーとなった「極道VSまむし」はハイビジョン化されています。この「極道VSまむし」のみの理由には、菅原文太が数年前に亡くなったことが急激にハイビジョン化が進められている決め手となっています。若山富三郎が亡くなったときは主演作をハイビジョン化するという概念がなかったため、まだまだ後回しにされています。最近まで生きていた方が伝えやすいために優先させているのです。

若山富三郎の”極道シリーズ” 1968~1974年 全11作 6年 東映京都
1968「極道」
1968「帰ってきた極道」
1968「兵隊極道」
1969「待っていた極道」
1969「旅に出た極道」
1970「極道釜ヶ崎に帰る」
1970「極道兇状旅」
1972「極道罷り通る」
1973「釜ケ崎極道」
1974「極道VSまむし」 ・”まむしの兄弟シリーズ”とクロスオーバー
1974「極道VS不良番長」 ・”不良番長シリーズ”とクロスオーバー

”まむしの兄弟シリーズ”は菅原文太、川地民夫による明るめな喜劇要素のあるコンビのやくざ映画のシリーズです。大映でいうと勝新太郎、田宮二郎の同じやくざ要素の”悪名シリーズ”のようなところも見受けられます。メインの2人による内容形成を求めています。”不良番長シリーズ”は梅宮辰夫の主演による代名詞的なB級タッチな東映の現代劇の映画シリーズ。

若山富三郎の主演した映画版の「子連れ狼」シリーズ。真のサムライは純真無垢な子供を連れて殺戮(さつりく)の場にやってくるのでした。



維新の篝火」はハイビジョン画質にする意味と標準画質のままの味わい



若山富三郎から「維新の篝火」に戻ります。「維新の篝火」はカラー作品ですが、2016年の現在もハイビジョン化がされていないため、標準画質であり標準4:3の形状のバージョンで視聴しました。ハイビジョンの16:9の形状のテレビで視聴すると16:9の形状の画面が表現させる中に4:3の形状が映し出されるため、画面の全体に映像が鮮明に表現されることがありません。

録画していたときのCS放送の契約が標準画質だったことも影響しています。CS放送の契約がハイビジョン画質の対応であるなら標準画質の機器で録画しても16:9の形状の画面を実現することが可能ですが、「維新の篝火」はこの契約を行う前に録画したバージョンでした。音響や画質の悪さも浮き彫りになりますが、それはそれで味わいはあります。公開当時にある程度は近い状態で視聴できるという面ではメリットがあります。

そのため、現在のテレビ番組や映画などのハイビジョン画質に慣れてしまうと、違和感や画質の荒さを感じます。当時の製作者たちがこだわった細かい装飾や衣装など、カメラが引いていると特に奥の部分はモザイクにも見えてしまうのが残念なところです。
当時のままが良いという考え方もあるので、むやみに画質を向上させればいいわけではありませんし、画質をいじることも困難を伴うところです。

↓表では公開に悩む裏話も独自公開↓
ヘンリー・フォンダやジョン・ウェインも登場、片岡千恵蔵、月形龍之介と日本アカデミー賞の前身の”牧野省三賞”の存在
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2016/10/24 18:23 | 邦画の探求COMMENT(0)TRACKBACK(0)  

近藤勇を歴代で当たり役した男と日本歴代最高齢映画スターのベスト3に出現した高倉健?!



先日、2015年に公開された韓国映画の史劇を見ました。一言で言うと難点ばかり見えてくる内容でした。2016年に見た映画の中でもワースト10に含まれる内容でしたが、韓国の文化に触れるという点においてはちょっとした勉強にはなりました。

2転、3転のただの破天荒なエンタメ劇であり、雰囲気を軽視しためちゃくちゃなセリフと展開で全体のバランスに難があり、韓国特有の品格の薄い内容の連続、俳優や映像はそれほど悪いともいえないのですが、テレビドラマのような映画の意味が弱い作品でした。日本にもテレビドラマのような映画も多くありますが、いずれは取り上げたいと思います。

前回記事⇒篝火(かがりび)と新撰組の土方歳三、初めて映画の主演で演じた最高齢の映画スター


通産23年で8度目の近藤勇月形龍之介と「維新の篝火


月形龍之介近藤勇はすばらしかったです。近藤勇の現実のモノクロ写真が残されていますが、心なしか月形龍之介に似ています。生まれ変わりではないのかとも思えるほどハマリ役だと評価しています。出番的には土方歳三に焦点を当てている映画のため、最小限なシーンしかありませんでしたが、出番が少なくても存在感と重厚感が抜群ですね。高い評価をしています。やはり、戦前からの長期の盟友でもある片岡千恵蔵と1対1のシーンは見所でした。月形龍之介近藤勇は映画ではこの「維新の篝火」が8度目でした。(月形の近藤の内訳は主演1、助演7)

近藤勇を映画で歴代最多で演じた男・月形龍之介の全貌



月形龍之介近藤勇役で出演した映画たち>
8作 出演期間1938~1961年 23年 主演1助演7
1938「新撰組(1938)」  日活京都 役名=近藤勇 主演=月形龍之介
1952「新選組 京洛風雲の巻」  東映京都 近藤勇 主演=片岡千恵蔵
1952「新選組 池田屋騒動」  東映京都 近藤勇 主演=片岡千恵蔵
1952「新選組 魔剣乱舞」  東映京都 近藤勇 主演=片岡千恵蔵
1956「鞍馬天狗 第一話 白馬の密使」  東映京都 近藤勇 主演の鞍馬天狗=東千代之介
1957「鞍馬天狗 角兵衛獅子」  東映京都 近藤勇 鞍馬天狗=東千代之介
1957「鞍馬天狗 御用盗異聞」  東映京都 近藤勇 鞍馬天狗=東千代之介
1961「維新の篝火」  東映京都 近藤勇 主演の土方歳三片岡千恵蔵



最年長の専属の主演映画スターとベスト3


片岡千恵蔵(58歳=東映)は、「維新の篝火」の1961年の時点で、市川右太衛門(54歳=東映)と長谷川一夫(53歳=大映)よりも年齢が上であり、日本の歴代で特に戦後においては最年長の専属の主演で活躍する映画スターでした。

1964年までは片岡千恵蔵、市川右太衛門長谷川一夫の実積も上位、年齢もベスト3のベテラン映画スターが日本映画を牽引していました。片岡千恵蔵は戦前も含めて最高齢であり、歴代を含めても日本では1位です。この頃、片岡千恵蔵の戦前からのライバルで盟友の嵐寛寿郎は、すでに主演映画スターではなく、脇役俳優として活動していました。



片岡千恵蔵と高倉健の専属の映画スターとしての大きな差


比較で取り上げると高倉健が1970年代の中盤に東映と専属解約を切っていますが、その時はまだ40代でした。高倉健は専属の主演映画スターでしたが解約の時点で事実上、専属の映画スターではなくなりました。日本映画において専属の映画スターという概念が消えかけていたときです。それ以降の高倉健は映画出演数も急激に減少していきます。片岡千恵蔵は、120年の歴代を通じて最年長の専属の主演映画スターです。

日本の映画俳優の専属制度は1970年代に高倉健の世代を最後に事実上の消滅しているため、さらに高齢化が進んでもこの記録は破られそうにありません。この記録はまだ破られていません。というよりも日本の専属映画スターの概念は消滅しているのでこの記録は金字塔となっています。


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真の日本映画や本当の映画ファンなら月形龍之介の存在を強く感じられる書籍でした。現在なら余裕で文化勲章の該当する超名優・月形龍之介の実の息子で、東映の映画に多数で出演した月形哲之介による監修本。


裏も更新⇒国の暴挙と文化勲章に物申す。近代の都合がよい人間だけを評価している国の日本
ちょっと過激めですが、作風の違いとして許してください。
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2016/10/14 20:19 | 未(235記事)COMMENT(0)TRACKBACK(0)  

篝火(かがりび)と新撰組の土方歳三、初めて映画の主演で演じた最高齢の映画スター


司馬遼太郎の小説の”燃えよ剣”の映画化は「土方歳三 燃えよ剣」が初めてでしたが、映画の主演で土方歳三を初めて演じたのは栗塚旭が最初ではなく、実は二人目でした。映画では初めて土方歳三を主役として描いた映画が、片岡千恵蔵の主演による「維新の篝火」(1961)でした。(篝火=かがりび)


前回の記事⇒土方歳三と栗塚旭と映画時代とまさかの予期せぬとらいあんぐる



あの源氏物語新撰組映画のまさかの関係性の浮上


この篝火の本来の意味は、野外で固定して使う照明具であり、内部の割り木に火をつけて周囲を照らす役割があり、利用手段は夜間の警護や純粋な照明や漁猟のときに使われていました。

維新の篝火となると、新しい時代が訪れる中で揺れたり消えゆく篝火=新撰組という集団や土方歳三とヒロイン(淡島千景)の恋愛模様などが消えようとしている篝火のようだとたとえていると考えています。篝火=夜間の警護=新撰組の見回りなどを連想させる部分もあります。

また、篝火の意味には、源氏物語の中に出てくる巻名の一つでもあり、そこからヒントを得たタイトルである可能性もあります。源氏物語では、光源氏が篝火をたかせて合奏を楽しんでいる話です。 源氏物語は長く奥深い物語であるので、維新の篝火というタイトルは、源氏物語と関連付けて幕末の深い物語であることが言いたいのでしょう。



土方歳三が主役で描かれている映画・新撰組映画にも該当




1961「維新の篝火」 (データ残る限りの土方歳三の主役が初)
土方歳三=片岡千恵蔵、お房=淡島千景、近藤勇=月形龍之介
山南啓介=岡田英次、弥兵衛=志村喬、安藤和馬=里見浩太郎(現・朗)など 
監督・松田定次、脚色・結束信二、原作=池波正太郎の「色」、製作・東映

1966「土方歳三 燃えよ剣」 (土方歳三の主役2作目)
土方歳三=栗塚旭、近藤勇=和崎俊也、沖田総司=石倉英彦、
七里研之助=内田良平、歳三の義兄=北村英三
監督・市村泰一、脚本・加藤泰、原作=司馬遼太郎の「燃えよ剣」、製作・松竹


初の土方歳三の主演映画「維新の篝火」と映画主演が300作俳優・片岡千恵蔵




世界の映画界で歴代3名のみの通産の主演が300作を越している片岡千恵蔵でもあり、「維新の篝火」の助演、脇役や端役の俳優は豪華です。上記の6名のほかにも有名な俳優が数多く出演しています。内容はというと悪くはない内容でした。松田定次が監督なので演技や空気感、展開など総合的にバランスが取れていて丁寧です。過剰な刺激はありませんが、好感が持てる良い時期の時代劇映画の魅力があります。

片岡千恵蔵の戦前から戦後の数多くの作品を視聴していますが、彼の中では上位には入らないという評価をしています。作品には貢献しているのですが、そこまでなはまる部分までは到達していませんでした。また、現代的な印象として存在している、栗塚旭が形成した土方歳三の役柄のイメージとは食い違う部分があります。それがよい部分であり、問題を感じる部分ともいえるかもしれません。

つまり、片岡千恵蔵には土方歳三はあまりかみ合う役柄ではないという部分もあるかと思います。ですが、さすがですね。かみ合わないなりに役をつかむ能力は歴代上位の映画スターの特有な魅力があると感じさせてくれました。また、片岡千恵蔵がこの映画「維新の篝火」で土方歳三を演じた当時は58歳でした。1961年に58歳で30代前半から中盤の土方歳三を演じること、このものすごさを感じる作品です。


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裏ブログ⇒存在の大きさ&ランキング有「土方歳三と篝火(かがりび)、初めて映画の主演で演じた最高齢の映画スターの裏側」裏からできる斬り込んだ内容をしています。映画に関する歴代の衝撃的なランキングも有。あれらの俳優はマスコミに誇張されているのか。
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2016/10/04 18:31 | 超大物俳優COMMENT(1)TRACKBACK(0)  

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